若手から刺激を受けて、感性を磨いていける。埼玉の匠が今の酒造りについて思うこと|滝澤酒造 滝澤英之杜氏

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2016/12/09

どんな人がどんな思いで醸した日本酒か知って飲む。すると日本酒はもっと美味しくなる。」そんな思いから始まった蔵元さんインタビュー。前回に引き続き滝澤酒造・滝澤英之(たきざわ ひでゆき)さんシリーズ第二弾です。

前回のインタビューでは、滝澤さんの幼少期から修行時代、そして杜氏になりたての頃まで、当時の心の変化とともに伺いました。子どもの頃は酒造りをやりたくなかったとは驚きました。

今回は、現在のお酒造りから日本酒業界のお話、若い酒蔵のみなさんやKURANDに対する思いまで、たくさんお聞きしました。

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分析から生まれた「発酵中のもろみ」に対する思い。13年の時を経て新しい境地へ

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出典:滝澤酒造株式会社HP

——前回は失敗談などをお聞きしましたが、今までの成功例やうまくいったことはありますか?

「ひとすじ」という商品でしょうか。前回お話した石川酒造(福生市)で酒づくりをしていた時にいろんなもろみの成分分析もまかせてもらえるようになったんです。発酵途中のもろみを口にした時、発酵しているのでプチプチとした炭酸感が残りつつ甘酸っぱい味わいなんです、最初は。発酵し終わると、どんどんお酒って辛くなっていくんです。それはそれで美味しいんですけれど、その発酵途中のものっていうのを製品にしたいなって思ったのがきっかけなんですよ。

——かなり前から思ってたということですか?

はい、かなり前からですね。21年前です。実際に開発に着手したのは8年前ですけど。21年前から8年前って13年間のブランクがありますが、その13年間っていうのは、私の前の親方が酒造のトップだったときで、昔気質の職人さんだったのであまり新しいことをやるのを嫌がったんです。

——スパークリングって何だ?みたいな?

そうですね。自分のスタイルっていうのがあるので、なかなかね。もちろん言いづらかった部分もありますし。実際言っても多分実現はしなかっただろうと思うんです。それで自分が杜氏になった時に、1年目からはさすがにおっかなくてできなかったので、2年目ぐらいから少しずつ開発に着手していきました。

——でもそんなに早くから。

はじめは、透明のお酒をつくるっていうとこまで想定してなかったんですよ。最初は発酵途中の、プチプチした感じとか、甘酸っぱい感じを再現しようと思って、「彩のあわ雪」っていう商品を、2010年に発売しました。「彩のあわ雪」っていうのは発泡感もあって、甘酸っぱい味わいで、そこでほぼ目的は達成できたのですが、濁っていて見た目があんまりよろしくないなってことでね。濁っているお酒だとハレの席だとやっぱりちょっと使いづらいんですよ。あともう1つの理由として、海外のいろんなコンテストに出した時に、濁っているお酒っていうのは評価されないんです。

——そうなんですか。

あくまで二流品、三流品っていうふうにみなされちゃうんです。それで透明にしなくちゃいけないなと思いました。「あわ雪」、「彩のあわ雪」も2010年に、6年前から発売していますが、味が安定するようになったっていうのは実はここ2、3年なんです。というのは、瓶内二次発酵っていう独特のスタイルなので…

——瓶内二次発酵?

はい、瓶の中で酵母を発酵させる方法なんですけど、澱(おり)の量というか、濁った成分をどれぐらい入れるかによって、発泡感が違ってくるんですよ。よく口開けた時に吹きこぼれるっていうお叱りのクレームをいただきました。最初は濁った部分をどれだけ閉じ込めるかっていうところで苦労しました。いろんなお叱りの電話ですとかクレームが、結果的にはノウハウにつながっていきましたね。
 

小仕込みと言いますか、最初少ない量で仕込んでみて、どれだけ濁った部分を瓶の中に閉じ込めれば、どれくらい圧力が高くなるっていう発泡感がわかってきて、発売することになったんです。それが今年の6月なんですよ。開発のポイントっていうのはやはり瓶の中の内圧を上げるのと、濁った澱を取り除くっていう部分なんですよね。

——とっても難しそうですね。

はい。澱の取り除く際はシャンパンの製法をヒントにしました。瓶内の澱を瓶口部分に集め、その部分だけを凍らせて、栓を抜くと中のガス圧で澱だけが飛び出て澱を除去できるという方法です。澱を除去する装置を導入して発売することができたんですけど、まだまだこれからの商品なのでいろいろ改良の余地はありますね。でも自分としても会社としても、結構大きな一歩を踏み出せたかなと思っています。これからもっともっと伸びる余地はあると思いますね。製品としても会社の柱にしていきたいなと思っています。

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——KURANDでも「CRAFT SPARKLING SAKE」の人気がすごかったですからね、本当に。

「CRAFT SPARKLING SAKE」っていうのは「ひとすじ」の兄弟みたいな商品なんですけど、あれは、「彩のあわ雪」に近いタイプなんですよ。濁っているんです。でもあれはあれで、クラフト感と言うんでしょうか、手づくり感を出すお酒なんです。きっとあのスタイルで正解なんじゃないかなとは思っていますね。
 

若手の頑張り・活躍が刺激に。お客様が若いことにも驚き。遠くて大変でもお客様の喜ぶ顔を見たい

saitama-y(左:寒梅酒造 鈴木杜氏、中:石井酒造 石井社長、右:石井酒造 和久田杜氏)

——今の日本酒業界に抱く思いはありますか?プラス面でもマイナス面でも。

そうですね。日本酒ってよくワインと比較されますよね。ワインづくりの細かいことはわかりませんが、日本酒もすごく手間をかけて丁寧につくるんです。ところが価格面だと、ワインに比べると価格は低いと思うんです。

——ワインって高級なイメージありますもんね。

そうですよね。それは多分マーケティング、売り方にも問題があると思うんです。日本酒の蔵元さんって真面目な方が多いので、すごく丁寧につくったものを安く売る傾向にあるんだと思います。ものすごく丁寧につくっているので、もっと高く出してもいいんじゃないかなとは思うんですよね。当然お客様にとっては安いものの方がいいとは思いますが、でももうちょっと高くてもいいんじゃないかというのはありますね。

——手間暇かかっていますもんね。

そうですね。あとは、プラスの面で捉えると、若い酒蔵が頑張っているなと思いますね。埼玉県内でいうと、非常にいいお付き合いをさせてもらっている石井酒造さんですとか、寒梅酒造さんですとかね、ああいう若手の人が非常に頑張ってるのが嬉しいです。寒梅酒造さんの鈴木さんも杜氏ですが、私よりもだいぶ若いのにめきめきと力つけてきてますしね。鑑評会でも2年連続して金賞入りましたし。

——すごいですね。

もう自分のスタイルっていうのは確立できているんじゃないかな、本当にすごいと思いますね。石井酒造さんも素晴らしいお酒造られていますし、石井さんがすごいのは、マーケティングが上手なところですね。

——そうですね、お上手。

考える企画が全部当たって、しかも的確にお客様の心をつかまえているんです。あの2人はまさに「彩の原石」じゃないですが、これからも光り輝き続ける存在かなと思っています。私より歳は下ですが、いい刺激になっていますね。それは埼玉県の2蔵に代表されるように、やっぱり全国でも20代、30代の若手の経営者、あるいは杜氏さんや蔵人さんっていうのが一緒に力を発揮しているので、とてもいい刺激になっています。自分もそういう動きを見て、もっと頑張らなきゃいけないなと常々思っているところですね。

——若手や家族経営の小さい蔵元さんなどを応援してるKURANDだからできることや、KURANDに思うことは何かありますか?

うちもKURANDさんにだいぶお世話になっていますが、よく飲み比べのイベントにも蔵元飲み比べの会にも呼んでいただいて、実際にお客さんとお話して最初驚いたのは、こんな若い人が日本酒飲んでいるんだっていうことでした。やっぱり自分の周りだと同年代か、あるいはそれ以上の人がたくさん日本酒を飲むっていうイメージしかなかったんですよね。で、若い人が日本酒飲むっていうイメージがほとんどなかったんです。

——確かに20代、30代多いですね。

多いですよね。池袋店に最初行った時には先ずそれに驚きました。結構需要があるんだって。まだまだ開拓できるんじゃないかっていうのは、メーカーとして、率直に感じたところでした。時間無制限で、また低価格でいろんなお酒が飲めるっていうのは、すごく自分にとって衝撃的でしたね。

——確かに、そんなカジュアルなイメージあんまりないですもんね、日本酒って。

そうなんですよね。あと感じたのは、やはり我々蔵元が行くとお客さんがすごく喜んでくれるっていうことですね。

——ものすごく盛り上がりますもんね!

実際にお客さんがすごく喜んでくれるっていうのは嬉しいですね。正直行くのは大変な部分はあるんですけど…。

——そうですよね…いつもありがとうございます。遠いですもんね。

ちょっとね、ちょっと遠いのでやっぱり正直、行くの面倒臭いなって思う時もたまにあるんだけれども…。

——そうですよね。当然です。笑

でも帰りの電車はね、すごいいい気持ちになるんです。

——それは嬉しいですね。

やっぱり来てよかったなっていうのは思いますね。中にはやっぱり文句言われるお客様もいらっしゃいます。それは多分率直な感想だから、それはそれでこっちも受けとめないといけないんですが、ほとんどは皆さんから激励の言葉をいただきます。お世辞の部分もあるかもしれませんがお客様に、美味しいって言ってもらえるのはやっぱり嬉しいですね。

——そうですね。丹精込めて造っていますからね。

そのために造っているような部分もありますね。これからもよろしくお願いしますっていう感じです。

 

日本酒業界そのものが新しく、斬新な時代になりつつある。過渡期のいま、どれだけ柔軟になれるか

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——他にKURANDに対して思うことはありますか?

あとはそうですね、KURANDさんに思うこととしては、やはり酒屋さんって後継者がいないんですよね。小売酒屋さんですね。酒販店さんも…。

——そうですね。町の酒屋さんも結構少なくなっていますよね。

そうなんですよね。で、ここ深谷市でも後継者のいる酒販店ってほんとに数えるぐらいしかないんです。近い将来廃業する酒販店さんっていうのは多いだろうなと想定されますし、実際ここ10年で多くの酒屋さんが廃業しているんです。売り先がなくなると当然酒蔵も経営が苦しくなるので、やっぱり新たなところとお付き合いしていかないとやっていけない。そういった中で、KURANDさんみたいな新しい取引先、しかも結構斬新なことをされているところは、ほんと刺激になりますね。

——なるほど。

こっちもね、正直ついていくのは結構大変な部分はあるんですけど。ついていくのっていうか…いい意味でね。

——え…あ、よかったです。無茶ぶりの部分があるのかなと。笑

いえいえ、そうじゃなくてね。何と言うか、考え方がすごく斬新なので、こっちももうちょっと頭をフル回転して考えないといけないなっていう部分が、感じるとこなんですよ。なので、ちょっと世代的には私なんか上なので、非常にそういった新しい人たちの考えって刺激になりますね。もっともっと感性を磨いていく必要があるのかなと思っているので、私にとっては大変有り難い存在です。

——こちらこそありがたいです。何か希望とかはありますか?

希望ね、個人的な趣味なんですが、以前蔵元として参加した日本酒コンのイベントがすごく楽しくて。日本酒を通じてカップルが生まれて、その場に立ち会えるっていうのが。

——面白い趣味ですね。笑

はい、でもああいう我々も楽しめるし、参加者も楽しめるような皆で一体になれるイベントっていうのを望みますね、今も色々やってらっしゃいますけれども。あとKURANDさんのスタッフさんたちと蔵元と交流できるような打ち上げみたいのもいいですよね。前にあったような。

——そうですね。楽しかったですよね。

やっぱりお酒を通じて皆が仲良くなるっていうのは、お客様も我々も一緒ですからね。そういった交流会みたいなのが、あると、もっと嬉しいですね。大変でしょうけれども。

ただ酒づくりの時期はやっぱりね…出られない時もあるので。でも、出れる時期にそういうのがあれば積極的に出たいです。

——とっても嬉しいです、これからもよろしくお願いします!ありがとうございました!


現在の日本酒業界への課題、若手蔵元たちへの期待、そして新しい日本酒への挑戦。滝澤さんの酒造りも様々な方面から刺激を受けて変わろうとしています。皆さんもぜひ今後の滝澤さんの醸す日本酒にご期待ください。

さて、2回にわたってお届けした滝澤酒造・滝澤さんのインタビューはまだまだ続きます。次回は、今後の展望についてのお話。お楽しみに。

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