次男だから継ぐとは思っていなかった。日本酒造り以外を学んだからこそ、活かせていること|旭鶴 田中淳平さん

KURAND
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2016/12/23

全国には約1500社もの酒蔵があることはご存知ですか?そのなかでも東京で飲める日本酒はごく一部。まだまだ知らない酒蔵さんがたくさんありますね。

私たちは「どんな人がどんな思いで醸した日本酒か知って飲む。すると日本酒はもっと美味しくなる。」と信じています。

そこで蔵元さんへインタビューを始めました。今回は、千葉県の旭鶴の田中淳平(たなか じゅんぺい)さんにインタビュー。酒蔵の次男として生まれ育った淳平さんがご実家の旭鶴で酒造りを始めるまでの経緯を伺いました。

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次男だから継ぐとは思っていなかった。けれど酒造りはとっても身近な存在だった

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——今旭鶴さんでお酒造りをされていますが、その前のお話をお聞きしたいと思います。

はい、私は田中酒造(現:株式会社旭鶴)の次男として生まれました。どこの蔵もそうだと思うんですが、普通は長男が継ぐんですね。その長男が高校で野球部の遠征とかで外に行ってたりして。反対に私は高校のとき部活には何も入らず家にいる機会が多かったので、蔵の手伝いとかもちょこちょこしていました。年末とか今の忙しい時期とかですね。

——そうですよね、今の時期お忙しいですよね。

高校のときに祖父が亡くなったのですが、法事の時も兄が部活でいなかったりして私が家の中の掃除とか手伝いとかをする機会が多かったんです。そのまま兄は普通の文系の大学に進学して、他の業種を目指すという話になったんです。
 
「じゃあ自分はどこに行こうか」と考えたときに、農大に行くことを最初考えたんですけど、ちょうどその時、「千葉県産業支援研究所」にいた先生が、東京バイオテクノロジー専門学校っていうところに行ったと知って、いい先生だからという親の推薦もあって行くことになりました。

——お祖父様が亡くなられてお兄さんがすぐにはあとを継がないって決まった高校の時点でお酒造りをしようと意思が固まっていたのですか?

いや、そこはなんとなくですね。絶対に自分がお酒造りをするぞとかではなくて、大学行って何がしたいのかっていうところですね。
 
理系の科目が得意だったので、それまではパソコン系とか理系の大学に行こうと思っていたんですが、なんかサラリーマンとかじゃなくて、お酒造りは生活の一部になっていてやっぱり面白そうだなと。
 
結構理系の部分も多いですしね。造りは結構科学的な部分がありますし。そういうところで自分の得意な面とも合ってるんじゃないかと思ったんです。

——なるほど。今、旭鶴さんでは、淳平さんのお母様が杜氏をされていますが、小さい頃もお母様がお酒を造っていらっしゃる姿を見て育ったのでしょうか。

そうですね。両親ふたりとも家にいるというかいないというか。ずっと仕事をしている感じで。

——なんとなくお酒を造っているんだ、くらいな。

はい、自分は手伝いと言ってもラベル貼りとかそういう感じで、庶務でしたけど。

——では小さい頃からお酒造りをする親の背中を見つつ、自分がやるんだとは思っていなかったけど興味があったと。

そうですね、興味が出てきた感じでした。

——親御さんの推薦で東京の専門学校の先生のもとに行くことになったそうですが、親御さんはその先生とどのようなご関係だったのですか?

母と先生が、先程お話した「千葉県産業支援研究所」を通して面識があったんです。ピンクの酵母っていうのがあって、それを先生と母がずっと一緒に研究していたという経緯ですね。母が信頼するその先生の授業が受けれるなら(その専門学校に)行ったほうが良いよなと。

——お母様は、千葉の研究所にはどんな経緯で行くことになったのですか?

あまり聞いたことないんですが、母がピンク色の酵母を開発したいという思いで千葉の研究所に行ったことがきっかけだと思います。そのあとは母と先生で共同開発みたいな感じでやっていました。私はその先生がどんな人だか当時は全然知らなかったんですけどね。笑

——先生のことはお母様から話を聞いていただけだったけど、母が信頼する人に教えてもらえるなら行ってみようかなと?

そうですね。母は東京バイオに見学に行くときも、見てみたいって言ってついてきたりしました。

——とても熱心なお母様ですね!

 

日本酒をテーマにできなかった卒業研究。でも他のお酒のノウハウが今の日本酒造りに

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——専門学校ではどのようなことをされたのですか?

東京バイオの特色としては、農大と違ってワインがメインなんですよね。自分が学生だった当時、農大は日本酒の製造免許しかなかったんですよ。授業のカリキュラムの中で日本酒は実験的に造れるけど、他のものはなくて。
 
東京バイオには授業のカリキュラムの中でビールもワインも、焼酎もリキュール、梅酒などのカクテル系もあったんです。そういう学校の方が日本酒に他の分野も活かせるところがあるかなと思って。海外研修でフランスのブルゴーニュにも行きましたね。

——海外研修!

はい。ワイン業界ってすごく酸化を嫌うんですよ。酸化防止剤を入れたりするくらい。自分もそういうところを日本酒に活かしたいと思いました。日本酒って前は酸化をあまり意識していなくて、でも実際に酸化はしていたんですよね。
 
最近はどこの蔵元も酸化を意識してあまり空気に触れさせない方がいいとか、そういう意識に変わってきているとは思うんですが、そういうところを学生の時代学べたのはよかったと思います。

——ワインの研修に行ったのはいつですか?

2年生の頃ですね。1年生の頃はいわゆるお勉強で、微生物学とか生物学、酵母はどういう遺伝子で出来ているのかという座学でしたね。なので1年生の授業はあんまりおもしろくなかったんですよ。笑

——1年生の頃は研修はなかったんですか?

研修はあったんですが、その座学を実験的にやろうとか機器の使い方や論文の書き方とかでしたね。2年生から醸造コースや食品コース、化粧品コースとかに分かれるんですけど、それまではみんな一緒でした。

——なるほど、では2年生で醸造コースに進んだのですね。

はい。2年生になってすぐワイン造りが2ヶ月、その後ビール造りが2ヶ月、日本酒造りが2ヶ月、焼酎造りが2ヶ月でした。

——すごい、ではまんべんなく醸造系学ばれたんですね。本当はご自身は日本酒を学びたかったんですよね?他のものを学ばれる際、どんな感じでしたか?

そうですよね、でもKURANDでも日本酒の生樽サーバーってあるじゃないですか。

——日本酒の生樽サーバーの着想は確かに旭鶴さんからでしたね!

あれはやっぱりビールを学んだからできたことだと思うんですよ。生樽の使い方というか、酸化させないこととか。鮮度持ちも瓶と全然違うんですよね。生ビール感覚で、鮮度そのままにお客様に届けられるっていうのはそこで学べたのかなって思います。
 
酸化に関しては、ワインの場合、酸化を嫌って製造過程でドライアイスを使ったりするんですが、そのドライアイスも日本酒造りにも活かせないかなと今は思っていますね。なるべくビールやワインの良い技術を日本酒にも活かしたいというところはあります。

——では決して無駄ではなかったのですね。

全然。日本酒の勉強ってある意味現場で学べるので、そういう部分の方が逆に助かっている気がします。

——なるほど。では、東京バイオは3年で卒業すると聞きましたが、3年生のときは何をされていましたか?

3年生のときは卒業研究にまるまる1年使いましたね。

——そうなんですね。では、卒業研究はどんなことされたんですか?

卒業研究はやりたいことを5人グループでやる形で、自分はやっぱり日本酒についてやりたかったのですが、日本酒をやりたい同級生があまりいなかったので、焼酎の班に入りましたね。

——じゃあ焼酎の研究をしたんですね。

はい、焼酎の酵素について研究しました。「セルラーゼ」という酵素の研究をしました。

——あまり知られていない酵素なのですか?

実験的なデータが出ていなかったんです。それを自分たちがデータ化しようということになりました。

——なるほど。理系の卒論の研究って結構たいへんなイメージがあるんですが、それは日本酒造りで活きていますか?

酵素の部分を勉強したことによって日本酒の方に直接活きたっていうことはまだないんですが、焼酎の酵素、いわゆる日本酒で言う麹(こうじ)の部分なんですけど、やっぱり麹の強さでもろみの溶ける具合とかが大きく変わるっていうのはすごく感じましたね。

1年目で麹番をやらせてもらえた。

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——すごく大事なんですね。卒業後は何をされていたのですか?

学校に求人募集が出ていた愛知にある蔵元に行きました。

——研修のような形で?

いえ、東京バイオを卒業して、すぐにその蔵元に就職しました。

——そうなんですね!いきなり就職とはすごいですね。蔵元で働き始めて、何か大変だったことはありますか?

造りの時期は麹番*で何人かと夜中何回か起きてチェックするのが大変でした。でも愛知流と旭鶴流と違いとかがわかるようになったので、すごくためになりました。1年目では麹を触らせてもらえない蔵って多いんですが、幸いにもやらせてもらえて、いい経験になりました。
 
*麹番…麹菌を繁殖させるために、麹の温度管理などを担当する人のこと。

——1年目で大事な役目を任されるなんてすごいですね。

今は別な大変さはあるかもしれないですけどね。その蔵元で経験したことは今の酒造りに活きていると思います。

——そうなんですね!ぜひ、その経験を活かして今度も美味しい酒造りを続けていってください。期待しています!


なかなか興味深い話の数々でしたが、今回はここまで。
 
次回は、今の酒造りの苦悩や葛藤などを詳しく聞いてみたいと思います。お楽しみに。

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