鈴木 將央

日本酒における「こす」と「濾過」の違い、わかりますか?

2015/07/27

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こす ≒ 濾過

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小学館の類語例解辞典によると、「こす」とは『液体などを、細かなすき間のできている物に通して、ごみ、不要な物を取り除く。濾過(ろか)する。「漉す」「濾す」とも書く。』と記載されており、「こす」と「濾過」の2つの単語は、ほとんど同じ意味合いであることが分かります。

ところが、日本酒においてこの2つは大きく異なるのです。

 

 

 

日本酒における「こす」とは

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国税庁のHPにある酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達の“第3条 その他の用語の定義”の11項目には「こす」の意義について、

~酒類の製造方法の一つである「こす」とは、その方法のいかんを問わず酒類のもろみを液状部分とかす部分とに分離するすべての行為をいう。~

と記載されております。日本酒づくりにおけるいわゆる上槽のことを指し、簡単に言うと『もろみを原酒と酒粕に分ける』ことです。酒税法では“米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの”が清酒であると定義されているため、「こす」=「もろみを原酒と酒粕に分ける」ことで清酒=日本酒が誕生するというわけですね。

 

 

 

日本酒における「濾過」とは

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「こす」という過程を経て、しぼりたてのお酒をそのまま商品化する日本酒もありますが、大抵は次に滓引き(おりびき:こしたあとの原酒内に残っている米や酵母などの細かい固形物を取り除く)という作業が行われます。

そのあとに、さらに残っている微細な粒子や雑味の成分、品質劣化の原因となる物質などを取り除くために行なわれる工程があり、これが日本酒における「濾過」です。

「こす」とは違うということが、この時点でお分かり頂けますよね。

 

 

 

濾過の方法は2種類ある

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ちなみに、濾過の方法は大きく分けて2種類あります。

1つはお酒に粉末状の活性炭素を入れて濾過機を通す方法(炭濾過、炭素濾過、活性炭濾過などと呼びます)。この活性炭素の粉末を使用することで余分な雑味や色味を吸着させ、すっきりとしたきれいなお酒に仕上げます。使用する活性炭の種類や量は、つくるお酒や蔵によって異なるそうです。

濾過方法のもう1つは、活性炭素を使わずにお酒をそのまま濾過機を通す方法(素濾過:すろか)。この濾過機には珪藻土(けいそうど)・ろ紙・カートリッジ式のフィルター・木綿などの種類があるそうです。

 

 

 

無濾過について

もろみ画像

日本酒のラベルを見ていて、無濾過という表示がここ数年で目立つようになりました。無濾過とは、読んで字の如く「まったく濾過をしていない」お酒のことであると、我々消費者はもちろん思いますよね。

ところが蔵によってはその考え方がどうやら異なるようで、炭濾過をしていないけれど濾過機は通してある、いわゆる素濾過のお酒のことを『無濾過』と表示しているお酒が一般的には多いのだそうです。これに関してはちゃんとした決まりがないので、何が正解で何が不正解というわけではありません。

ちなみに、活性炭素も使わず濾過機も通さないものを“完全無濾過”といいます。岐阜県・中島醸造(株)さんの小左衛門というブランドには“完全無濾過 滓引き前生原酒”と表記している商品があったり、宮城県・(株)一ノ蔵さんでは“素濾過生原酒”と表記している商品があったりと、濾過や無濾過に対してしっかり差別化をしているところもあります。

 

 

 

まとめ

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ということで今回は「こす」と「濾過」の違いについて、そして濾過方法や補足として無濾過についても書かせて頂きました。日本語としての意味はほとんど同じでも、日本酒としての意味合いは大きく違うということがお分かりただけましたでしょうか。

かつて東北地方の国税局担当官が「日本酒の定義は『こす=濾過』であり無濾過という表記は日本酒ではない」と根本的な勘違いをしていて、管轄の蔵元に対してラベルに無濾過と書かないように指導したという話がありました。

今回このコラムをお読みになって2つの違いをすでにご存知のみなさまならクスッと笑ってしまうかもしれませんが、国税局の担当官でも間違えてしまうくらいですので、一般の消費者の方々にとってはなおさら分かりにくいですよね。

日本酒はこのように難しい部分もありますが、知らないで飲むよりは知って飲んだほうがより美味しく楽しめると思います。日本酒についての知識を少しでも身に付けて、これからも楽しい日本酒ライフをお送りください♪

 

 

 

文・日本酒アンバサダー@大森慎

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