日本酒を造るうえで欠かせない、酒の母「酒母」とは? | KURAND(クランド)
鈴木 將央

日本酒を造るうえで欠かせない、酒の母「酒母」とは?

2016/09/27

皆さんは酒母という言葉を聞いたことはありますか?日本酒にある程度詳しい方であれば言葉だけは知っているという人も多いかと思います。今回はそんな日本酒を造るうえで絶対に欠かせない存在である「酒母」について詳しく説明していきましょう。

酒母とは?

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酒母の具体的な定義は「日本酒の醸造のために、蒸した米・麹・水を用いて優良な酵母を培養したもの」です。これだけ聞いてもイマイチピンとこないですよね。
 
実は日本酒に限らず、お酒は全て微生物による発酵によって生まれます。日本酒の場合は酵母菌が糖を食べることによってアルコール発酵を行うことによって造られます。
 
要するにアルコール発酵に欠かせない酵母を大量に増殖させたものということですね。

酒母はどのように造られる?

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この酒母を造るには、まず初めに「もと桶」という桶(タンク)に麹と水を加え混ぜ合わせます。そこへ、酒造りに使用する少量の酵母と醸造用乳酸を加えます。更にここへ蒸した米を加えれば、酒母造りの準備は完了です。ここから約2週間から1ヶ月待つことで、酵母が培養されて酒母が完成します。
 
ちなみに、醸造用乳酸を加える目的は、空気中から入り込んでくる雑菌や野生酵母を死滅させることにあります。酒母造りの際はタンクの蓋は開放状態となっています。そうすると、空気中からタンク内にたくさんの雑菌や野生酵母が入り込んでくるので、硝酸還元菌や乳酸菌を加え、乳酸を生成させることによって雑菌や野生酵母を駆逐する必要があるのです。

生酛系と速醸系

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酒母は作り方によっておおまかに2種類に分けられます。酒母の造り方の最後で、雑菌や野生酵母の駆除のために乳酸菌を加えると説明しましが、この際に乳酸菌をどのように加えるかによって、酒母は生酛系(きもとけい)速醸系(そくじょうけい)の2つに分類されるのです。
 
生酛系の酒母造りは古くから続く製法で、蔵に自生している乳酸菌を空気中から取り込んで乳酸を作らせます。酒母ができるまでの所要期間は1ヶ月と長く、手間もかかりますが、生酛系独特のしっかりとした酒質の酒ができます。生もと造りと書かれている銘柄はこの造りを採用しています。
 
速醸系は乳酸を人工的に加える製法です。近代的な製法で、仕込み水あらかじめ醸造用の乳酸を加え、十分に混ぜ合わせた上で、掛け米と麹を投入して酵母の培養が行われます。培養期間はおよそ2週間ほど。現在造られている日本酒のほとんどは、この速醸系で造られています。


以上、日本酒造りに欠かせない酒母についていかがでしたでしょうか。日本酒造りの中でもなかなか難しい部分ですが、ここを理解できれば酒造りに対してグッと理解が深まります。日本酒好きなら覚えておいて損はないですね。