日本にも存在するお酒の神様「酒神」について。 | KURAND(クランド)
鈴木 將央

日本にも存在するお酒の神様「酒神」について。

2016/08/19

皆さんはお酒の神様「酒神(しゅしん)」と聞いて何を思い浮かべますか?多くの方はギリシャ神話に登場する「バッカス」の名前が上がるのではないかと思います。しかし、日本にも古来より伝わるお酒の神様が存在するのです。今回はそんな日本の酒神について紹介していきましょう。
 

酒造りと神事の深い関係

th_大神神社正面
酒に酔うと意識が高揚し、気分が良くなったり、陽気になったりしますよね。古代の人々はこういった効果から、酒を神秘的な飲み物と捉えていました。日本においても「お酒」を「清らかなもの」、「神様の領域に近付けるもの」と捉えており、日本に仏教が伝来する大和時代(538年)より以前から、神様にお願いをし教えを聞く「神事」が暮らしの中に浸透しており、その場面には必ず「御神酒(おみき)」なるものが存在しました。
 
更に、古来の日本では酒を造る行為そのものが神事として行われてきました。酒造りの工程毎に、専用の祠(ほこら)が用意され、造りの最中は祝詞を読み上げながら執り行っていたのです。儀式としての意味合いが強かった酒造りは自然を生み出す神様への敬意を示すという意味合いも強かったのですね。

日本の代表的な酒神を祀る神社

日本には八百万の神様がいると言われ、もちろん酒造りにも酒神と呼ばれる神様が存在します。ここからは、そんな酒神を祀る代表的な神社を紹介していきましょう。

大神神社(おおみわじんじゃ)

th_大神神社
奈良県桜井市三輪に位置する大神神社は日本で最古の神社と言われています。ここでは酒神の二大神である、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)少彦名神(すくなひこなのかみ)が祀られています。毎年11月14日には新酒の醸造安全祈願大祭が執り行われることでも有名で、祭りの際は全国の酒造家や杜氏たちが醸造安全祈願にやってきます。
 
また、酒屋の看板ともである「杉玉」はもともと三輪山の神杉の葉を球状に束ねて作られたもので、酒造家は三輪山の神杉の葉を球状に束ねて作られた小型の杉玉を持ち帰り、新酒ができたしるしとして軒先に吊るしていました。大神神社が如何に酒造りの歴史において重要な位置づけなのか伺えますね。

松尾大社

5433697294_551cd04253_b
京都盆地の西一帯を支配していた秦氏(はたうじ)により、西暦701年(大宝元年)創建された京都最古の神社である松尾大社。秦氏に酒造りの技能者が多く見られたことから、室町時代末期頃から「酒造第一祖神」として崇拝されるようになりました。
 
第一の御祭神は「大山咋神」(おおやまくいのかみ)。弓矢の神、戦の神であったことから、下鴨神社、上賀茂神社とともに皇城守護の神としても崇拝されてきました。毎年、醸造祈願の「上卯祭」(じょううさい、11月上卯日)、醸造完了感謝の「中酉祭」(ちゅうゆうさい、4月中酉日)が開催され、全国から蔵元関係者、杜氏らが訪れます。境内には「お酒の資料館」が設置されており、各地の酒造メーカーが寄贈した酒造用具や酒器が展示されています。

梅宮神社

Umemiya_torii
京都市右京区の桂川の東、四条通りの北に位置する梅宮神社。酒解神(さけとけのかみ)、酒解子(さけとけのみこ)を主神とした、酒神をまつる神社です。もともと、京都府南部の綴喜郡井手町にあった橘氏(たちばなうじ)の氏神を平安遷都と共に現在の場所へ移したとされています。松尾大社と同様、11月上卯の日に「醸造安全繁栄祈願祭」(上卯祭)、4月中酉日に「献酒報告祭」(中酉祭)が行われ、酒造関係者らが参拝に訪れます。
 
また神社の本殿の側にあり、古くから伝わる「またげ石」と呼ばれる2つの丸い石は嵯峨天皇の皇后がこの石に祈願したところ、のちの仁明天皇を授かったという伝えから、またぐと子宝に恵まれるといわれており、子宝・安産の神社としても有名です。


以上、日本に伝わる酒神についていかがでしたでしょうか。日本酒造りは日本の長い歴史の中で培われてきた技術です。こういった背景を知っておくと、また日本酒の楽しみ方の幅も広がりますね。酒呑みの皆さんも機会があれば一度酒の神にお参りしてみてはいかがでしょうか?