炊かない、蒸すの。日本酒造りにおける「蒸米」はダイナミックかつ繊細な作業だった! | KURAND(クランド)
鈴木 將央

炊かない、蒸すの。日本酒造りにおける「蒸米」はダイナミックかつ繊細な作業だった!

2017/04/19

日本酒の造りの工程を紐解くシリーズ、これまでは「精米」「枯らし」「洗米」「浸漬」「水切り」についてご紹介しましたが、今回はそれら全ての工程で細心の注意を払ってきたのはこのためだ、といっても過言ではない、「蒸米(むしまい)」をご紹介します!

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日本酒ができるまで

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日本酒造りの工程は、大まかにこのようになっています。それぞれの工程で「どのようなお米を使うか」、「どのようなお酒にするか」などによっていろんな調整をしています。
 
「蒸米」は、ただお米を蒸すだけではありません。これまでの「精米」「枯らし」「洗米」「浸漬」「水切り」と同様に、細心の注意を払わなければなりません。
 

「蒸米」では何に気をつけているのか。「蒸米」の具合がどのような影響を与えるのか。酒質を決める大事な工程のひとつである「蒸米」の工程を覚えておきましょう。

「蒸米」とは

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「蒸米」とは、甑(こしき)という大きなせいろや蒸米機で、蒸気を使ってお米を蒸す工程をいいます。お米のでんぷんをβ型(生でんぷん)からα型(蒸米)に変化させ、糖化酵素の作用を受けやすくします。
 
普段私たちが食べるお米は炊飯器やお鍋で炊きますが、「蒸米」では高温の乾燥した湯気で蒸かします。蒸かすことで、高温低湿状態を作り出し、ちょうどよく米を柔らかくすることができます。
 
また、加熱による米の殺菌で、以後の醸造工程を安全に進めるねらいもあります。

重労働で手のかかる「蒸米」


現在では蒸しから冷却まで自動で行う機械を使う蔵もありますが、大吟醸の仕込みでは甑を使って丁寧に蒸米をしなければならないと言われています。
 
蒸かし時間や蒸かし具合は日本酒の香りや味わいを大きく左右するため、こまめにお米の状態を確認しつつ作業を行います。
 
蒸し終えた米は「ぶんじ」という木のスコップでかき混ぜます。蒸したお米は非常に重く、また蒸気が立ち上る中での作業は暑さとの戦いです。100度近いお米を甑から取り出し、運んで広げ、冷却作業を行う「蒸米」は、かなりの重労働です。

「蒸米」は日本酒にどう影響する?

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「蒸米」では、お米が麹の繁殖しやすい硬さと水分量(外側を硬く、内部は軟らかく溶けやすい状態「外硬内軟(がいこうないなん)」)になるよう、細心の注意を払います


 
蒸米は、後の工程に出てくる麹(こうじ)、酒母(しゅぼ)、醪(もろみ)の3つをつくるために用いられます。蒸米の具合がその後の精度に大きく影響するため、「外硬内軟」を目指して、蔵人さんたちはこまめに蒸し具合いを確認します。
 
醪を作る時は、糖化や発酵にじっくりと時間をかけて、味わいのいい醪を目指します。そのため、ある程度硬さが残っている米が、味わい深い日本酒のもとになる醪を作ることに適しています。
 
また麹を作る際は、米が柔らかすぎると麹菌の菌糸が蒸米の中心部まで入り込んでしまい、米が酵素で分解されすぎてしまう「バカ破精」という現象を起こしてしまいます。
 
一度に大量の米を蒸しながら、「外硬内軟」の米を目指して細心の注意を払っているんですね。


蒸米は、私達の食べるお米のように「炊く」のではないんですね!あんなに大量のお米が蒸されるところなんて、普段見られませんよね。
 
この蒸米はのちに麹、酒母、醪をつくるために重要な工程なので、蒸すときはダイナミックなだけでなく、繊細さも求められますね!
 
「精米」の解説はコチラ
「枯らし」の解説はコチラ
「洗米」の解説はコチラ
「浸漬」の解説はコチラ
「水切り」の解説はコチラ