蔵によって方法がちがう!日本酒造りにおける「上槽」について | KURAND(クランド)
鈴木 將央

蔵によって方法がちがう!日本酒造りにおける「上槽」について

2018/10/18

これまでKURANDマガジンでは、日本酒を語る上で欠かせない、「精米」「枯らし」といった工程について紹介してきました。今回は、日本酒のラベル表記に関わる「上槽」の工程について、ご紹介したいと思います!

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日本酒ができるまで

日本酒造りの工程は、大まかにこのような流れなっています。
 
今回は、醪(もろみ)が発酵を終えた後、酒と酒粕に分ける工程である「上槽」をご紹介します。

「上槽」とは


「上槽」とは、発酵を終えた醪(もろみ)を、酒と酒粕に分ける作業のことを指します。発酵後の醪は、酒と酒粕とが混ざり合った状態です。醪に一定圧をかけることによって、醪から液体の酒だけを取り出すことが出来ます。

「上槽」という用語について

「上槽」という言葉は、酒を搾る際に使う用具の形が、船の底に似ていることから由来してます。蔵人の間で「船」と呼ばれることもあります。

蔵によって異なる「上槽」の方法


「上槽」の方法は、酒蔵によって異なります。大きく2種類に分けられる「上槽」の方法のうち、伝統的な「袋吊り」「槽搾り」と、現在広く行われている「機械搾り」について、ご紹介します。

袋吊りとは

袋吊りでは、醪を、酒袋と呼ばれる縦50cm横20cmくらいの「酒袋」と呼ばれる大きな袋へと入れていきます。酒袋をタンクの中に吊るし、液体である酒を、重力の重みだけでゆっくりとしたたらせていくため、袋から自然落下で酒が雫のように落ちてくる様子から「袋吊り」は別名「雫しぼり」または、「雫取り」とも呼ばれています。

「袋吊り」によって搾られたお酒は、搾るというより、したたらせることによって、非常に繊細に抽出することが可能です。そのため、雑味の一切ない、日本酒本来の香りと味わいの楽しめる酒が出来上がります。

槽搾りとは

槽搾りとは、縦50cm横20cmくらいの布袋に醪を入れてから横に段々に重ね、上から圧力をかけて搾る方法の事です。伝統的な方法で、手間と時間のかかる槽搾りは、圧力を大きくかけずに優しく搾ることにより、雑味の少ない日本酒本来の味わいが楽しめます。

機械搾りとは

一方で、上槽方法で一般的なのは、搾り機によって醪に圧をかけ、酒と酒粕に分ける機械搾りです。「袋吊り」「槽搾り」の難点は、酒を搾るまでに時間が多くかかるうえ、一回の上槽で多く得ることができないところです。機械搾りは、アコーディオンのような蛇腹状の圧搾機の中に醪を流し込み、両側から圧力を加えて酒を搾りだします。圧力が強いため、大吟醸など繊細なお酒を搾る際には避けられることもありますが、搾り終わるまでの時間が短いため、酸化を防止することが出来るのが大きな利点です。

どうして「上槽」をするの?

ここまで、「上槽」という工程についてご紹介しました。では、なぜ「上槽」は、日本酒造りにおいて必要なのでしょうか。

「上槽」を行わないもの=日本酒ではない!?

基本的に、日本酒は全て「上槽」の工程を経て出荷されます。なぜなら、酒税法で定められている「日本酒」の定義は、「醪を搾って酒粕を取り除いたもの」を指しているからです。つまり、「上槽」を行わない日本酒は存在しないのです。

「上槽」は日本酒造りにどう影響する?

日本酒造りにおいて、「上槽」の工程はどう影響してくるのでしょうか。味わいという点から、「上槽」がもたらす影響を見ていきたいと思います。

「上槽」の過程のどこに位置するかで、日本酒の味わいは変わる!?

「上槽」の工程では、最初に出てくる酒をあらばしり、中間部分を中汲み、最後の部分を責めと呼びます。同じ醪から搾ったものでも、搾った過程で味わいが異なります。特に最初に出てくるあらばしりは、搾りたてのフレッシュな味わいが特徴です。また、中汲みは味わいのバランスがよく、責めは濃い日本酒になりやすいです。

上槽方法や、どのタイミングで搾ったものかによっても、味わいが異なってくるので「上槽」について知っておくと、一層日本酒の味わいを楽しむことができそうですね。