鈴木 將央

実はさまざまな方法があった!日本酒造りで重要な工程「酒母造り」とは?

2018/08/08

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皆さんは、日本酒造りにおける「酒母造り(しゅぼづくり)」という工程をご存知でしょうか。「酒母」は「酛(もと)」とも呼ばれ、「一麹、二酛、三造り」という日本酒造りの格言があるように、酒母造りは、酒造りの最も重要な工程の一つとされています。
 
 
前回までの記事で、「製麴(せいきく)」についてご理解いただけたかと思います。ということで、本日は引き続き、「酒母造り」について紹介していきいきます!
 
前回の記事はコチラ
 

「酒母造り」とは

酒母とは?


「酒母」とは、酵母を健全に増殖させて、醪(もろみ)を発酵させるための日本酒造りに欠かせないものです。
 
酒母造りでポイントとなるのが、「酒母の中に乳酸が含まれているということ」です。
 
実は、酒母用のタンクは蓋がついてません。常に開放されていて、外部から雑菌が入りやすい環境となっています。もちろん、酵母も微生物なので、多くの雑菌が入ってくると駆逐され、最終的に酒母が腐ってしまいます。(腐造といいます。)
 
そこで、必要となるのが乳酸です。この乳酸が酒母を酸性に変えてくれるので、この環境に弱い雑菌を排除することができます。反対に、酵母は酸性に強い性質を持っているので、酒母の中で健全に発酵することができます。つまり、酵母の強みを生かすために、どうしても乳酸が酒母には必要ということです。
 
また、この乳酸を酒母に取り込む方法は、大きく分けて2通りの方法があります。早速紹介していきます。

酒母造りにおける「生酛(きもと)系」と「速醸(そくじょう)系」の違いは?


日本酒が好きな方なら、一度はこれらの言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。この「生酛(きもと)系」と「速醸(そくじょう)系」というのは、酒母造りにおける、「乳酸を得る方法」の違いを指す言葉です。
 

酒母造りにおける「生酛系」とは


「生酛系」とは、自然界に存在する乳酸菌を取り込む方法です。そのために、水、蒸米、麹を混ぜたものをひたすらすりつぶしていく作業が必要です。最初は手で混ぜ、後から櫂棒(かいぼう)と呼ばれる専用の道具を使用します。この作業は「山卸(やまおろし)」と呼び、深夜から早朝にかけて、極寒の中で行っています。
 
すりつぶすことで、麹が蒸米を溶かす(糖化)スピードが早くなり、そこに乳酸菌が入り込みます。最初は雑菌と共に乳酸菌も生息していますが、次第に乳酸菌が乳酸を生成し、他の雑菌を淘汰していくようになります。
 
このように山卸作業を行うのが生酛(きもと)造りです。この方法は、江戸時代のはじめ、つまり、17世紀の後半に出来上がった醸造方法で、とても歴史があります。
 

酒母造りにおける「山廃造り」とは


上で述べた「山卸」という作業は、深夜から早朝にかけて、長時間行うため、蔵人にとって非常に重労働でした。
 
しかし、それから技術革新が進み、米をわざわざすり潰さなくても、材料の投入順序を変えることで、山卸の作業を省いても、変わらない「生酛」の味わいを造り出すことができるようになりました。こうして出来上がった酒母を「山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)」と呼び、略して「山廃(やまはい)」と呼びます。
 

「山廃造り」を使用したお酒は、深い旨味とコシのある味わい、また乳酸による酸味でキレのある味わいに仕上がります。
 
すっきりとした淡麗のお酒というよりは、濃醇で骨太な味わいというのが山廃仕込みの特徴です。
 

酒母造りにおける「速醸系」とは


第二次世界大戦後、液体状の乳酸が販売され、乳酸を作る手間が大幅に短縮されました。タンクに水、醸造用乳酸、麹、酵母、蒸米を入れて発酵させる方式です。
 
また、生酛系酒母は製造におよそ1ヶ月かかるのに対して、速醸系酒母は2週間前後で完成するのが特徴です。安全で、早くできるのが速醸系酒母ということになります。しかし、味わいの特徴は異なるので、どちらの手法を選ぶかは杜氏の判断になります。
 


酒母造りについていかがでしたでしょうか?酒母造りのなかでも生酛造りには、相当な時間と体力が必要だったんですね。現在では、速醸酛を使用して乳酸を得ている蔵がほとんどですが、現在でも生酛系酒母を使用し、時間をかけて酒母造りをして製造している酒蔵もあります。
 
お酒を飲まれる際は、酒母造りが「生酛造り」なのか、「山廃造り」なのか、「速醸酛」なのか、という点にも注目して飲んでみてくださいね!
 
次回は日本酒造りの本番、「醪(もろみ)」を造るための下準備、「仕込み」について紹介します!

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