鈴木 將央

日本酒の味の決め手となる!醪は3回に分けて仕込まれていた。

2018/09/27

皆さんは、日本酒造りにおける「醪(もろみ)」をご存知でしょうか。「一麹、二酛、三造り(=醪)」という日本酒造りの格言があるように、「醪」は酒造りの最も重要な工程の一つとされています。
 


前回までの記事で、「酒母造り」についてご理解いただけたかと思います。ということで、本日は引き続き、「仕込み」・「醪造り」について紹介していきます!
 
前回の記事はコチラ
 
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「醪(もろみ)」とは


醪は、日本酒の味の決め手となる、とても大事な工程です。
 
この醪を構成する要素が、これまでお話ししてきた、蒸米酒母なのです。良質な水、蒸米、麹、酒母があってこそ醪はつくられます。
 
また、醪の工程において特徴的なのが、3回に分けて仕込む、「三段仕込み」という方法を使用していることです。「三段仕込み」とは、あらかじめ造っておいた酒母に、水、蒸米、麹をそれぞれ、初添・仲添・留添と3回に分けて、徐々に仕込み量を増やしていきます。
 

なぜ3回に分けて仕込むの?


日本酒は微生物などの複雑な発酵過程を経てできあがります。この発酵は複雑ゆえに繊細であるため、日本酒造りに悪影響を及ぼす微生物(雑菌)から影響を受けないようにしなければなりません。
 
以前「酒母造り」の紹介をした際に、酒母を最初に造るとき、「日本酒造りに使われる微生物は、他の微生物が弱いはずの酸性にはとても強い」といった日本酒の発酵の特性があることはご理解いただけたかと思います。その特徴を活かし、最初に酒母をつくるときは「酸性」になっています。
 
なので、醪を仕込むときも、酸性を保たなければ、悪影響を及ぼす微生物から影響を受けてしまう可能性があります。しかし、醪を構成する水・蒸米・麹は酸性ではありません。
 
そのため、酸性の酒母に、酸性ではない水・蒸米・麹を一度にまとめてタンクへ投入してしまうと酸性が薄まってしまうのです。よって、水・蒸米・麹を3回に分けて投入することで一度に酸性が薄まることを避け、醪の発酵を促します。
 

三段仕込みについて説明します!


ここまでで、なぜ三段仕込みをする必要があるのかはご理解いただけたかと思います。
 
それでは早速、三段仕込みのステップについて、どのようなものか説明していきます!
 

1日目:初添(はつぞえ)

1日目は「初添(はつぞえ)」と言い、酒母に水・蒸米・麹を加えます。この仕込みでは、蒸米は「掛米(かけまい)」、麹は「掛麹(かけこうじ)」と呼ばれます。
 
酒母は、仕込みの前日に醪の仕込みタンクに入れておき、翌朝にまず麹と水を加えて水麹(みずこうじ)を造ります。水麹は、仕込み水に麹の糖化酵素を溶かし出しておくために、掛米を入れる2~3時間前に造っておきます。
 
この初添で、全体の6分の1が仕込まれます。
 

2日目:踊り(おどり)

初添と仲添の工程の間には、「踊り」と呼ばれる何も加えないで様子を見るだけの日が存在します。
 
前日に仕込んでおいた米は水分を吸ってふくらみ、一見、硬めのおかゆのようになっています。このとき、「櫂(かい)」と呼ばれる棒でタンクの中をかき回すと、ガスが抜け、次第に柔らかくなるのがわかります。
 
これは、酵母によるアルコール発酵が始まっており、酵母が増殖している状態です。「踊り」では、酵母に急激な環境の変化を与え過ぎないよう、時間を置いて環境に慣れさせる必要があるのです。
 

3日目:仲添(なかぞえ)

二度目の仕込みは仲添(なかぞえ)と呼ばれます。ここでは初添の際に加えられた掛米と掛麹の2倍の量を更に加えていきます。
 
温度を下げることによって、雑菌の繁殖を防ぐと同時に、酵母の増殖アルコール発酵のスピードなどの総合的バランスを図っています。
 
仲添で、醪造りの半分が完了します。
 

4日目:留添(とめぞえ)

三段仕込みの最終日、留添(とめぞえ)です。残りの水・掛米・掛麹を加え、温度をさらに下げて仕込みます。
 
4日間をかけ、3回の仕込みで仕込み工程は終了します。あとは低温状態を保ちながら発酵管理をしていくことになります。
 

三段仕込みだけではない!?


基本的に、この醪を仕込む段仕込みの工程は、3回というのが酒造りの常識です。
 
ただ中には日本酒のラベルに「四段仕込み」や「十段仕込み」などと記載されている日本酒もあります。確かにこれらのように仕込みの回数を増やして、醪を造る場合もあります。
 
これらは三段仕込みが終わった後に、掛米を足して造られています。三段仕込みに1回掛米を足すなら4段仕込み、三段仕込みに7回掛米を足すなら10段仕込み、ということになります。
 
しかしその場合は発酵を進めるという目的ではなく、甘口の日本酒を造る際の日本酒度の調整といった役割になります。酵母は自らが生み出したアルコールによって死滅してしまうため、いくら掛米を足しても分解されず、糖分としてお酒に残り、甘い味わいの日本酒になります。
 
いかがでしたでしょうか。次回は、日本酒を「清酒」にするために欠かせない工程、上槽について説明します!
 
ぜひ次回もご覧くださいね♪