鈴木 將央

造り手と売り手が白熱した議論を交わした「KURAND商品審査会」の様子をご紹介します。

2019/05/09

先日KURANDでは、滝澤酒造・滝澤英之氏を審査委員長に迎え、提携するパートナー酒蔵の方々やKURANDスタッフからなる「KURAND品質管理委員会」を発足し、お客さまに多様性に富んだ高品質な日本酒をお届けするための品質チェックと向上を目的とした「KURAND商品審査会」をKURAND SAKE MARKET 新宿店で開催しました。

今回は、その様子をレポートしたいと思います。

さらなるレベルアップを目指し、KURANDと酒蔵が意見を交換


「KURAND商品審査会」の目的は、「お客さまに多様性に富んだ高品質な日本酒をお届けするための品質チェックと向上」となっています。
 
KURANDと各酒蔵が共同でつくった日本酒を「酒質」「コンセプト」の2つから評価することで、レベルアップを目指す試みです。
 
なお、酒質といっても好みの問題があるので、今回はKURANDが考える高品質な日本酒の定義である「キレがある」「酸化していない」「オフフレーバーがない」の3点に具体化しました。
 
これまでKURANDは独自の基準を設けて日本酒の品質を高めてきました。より現場の意見を取り入れることで、さらなる品質の向上につながると思い、今回は“酒造りのプロ”である、提携するパートナー酒蔵の方々の意見を取り入れることを決めたのです。

代表と滝澤審査委員長のあいさつから審査会がスタート


KURAND代表の荻原のあいさつから審査会はスタートしました。
 
「審査会は品質委員会にとって初めての試みです。パートナー酒蔵たちと共同でつくっている日本酒は、当初の予定ではKURANDの店舗で出す予定でした。しかし現在取引先の飲食店が増えているほか、大手のデパートや百貨店などからもご依頼をいただいている。今後も取引先を増やしてパートナー酒蔵に貢献するために、この審査会で全体的な品質のレベルを高めたい」
 
との言葉に、今回の審査会の重要性があらわれています。


続いて、審査委員長を務める滝澤酒造の滝澤英之氏が
 
「今回は酒質とコンセプトという2点に重点を置いた。この審査会によって各酒蔵がレベルアップすることを目指しているので、厳正な審査をしていただきたい」
 
とのコメントをされました。今回はできるだけ審査員の偏りをなくすために、無記名方式を採用しています。

日本酒を前にして“本気モード”に


その後、審査会はいよいよテイスティングに移ります。このたびエントリーした日本酒は全部で約50種です。

それぞれの酒瓶の前には日本酒のコンセプトや相性のいい料理などが記載された「ブランドカード」と呼ばれる商品説明書があり、お酒の背景やメッセージ性を把握できるような工夫がなされています。


それまで談笑をしていた審査員も、日本酒を前にした瞬間に表情が一変します。味わう前にブランドカードを確認し、グラスに日本酒を注いでから数回揺らして香りを確認。

口に含んで循環させたり、歯の隙間から吸い込んだりして、審査項目であるキレや酸化、オフフレーバー、また鼻に抜ける香りなどを細かくチェックします。

別のコップに戻した後は後味を確認して、再度ブランドカードを確認するなど、終始真剣なまなざしで黙々とテイスティングを繰り返していました。

エントリーした日本酒のコンセプトは多種多様です。「女性の門出を祝う酒」や「大切な友人と呑み交わす酒」「日本酒デビューの方におすすめしたい酒」「キレが良く、乾杯にうってつけの酒」など、各日本酒によって個性があり、コンセプトに合わせて味わいを変化させています。

なかには食事とのペアリングをコンセプトにしている日本酒もあり、各審査員はチーズやビーフジャーキー、チョコレートなどとの相性を確認していました。

互いの意見をぶつけ合う、熱いディスカッションが展開!

テイスティングが終了したら、4~5人編成のチームごとにディスカッションで最終的な評価をつけていきます。1つひとつのお酒の酒質とコンセプトについて、専門的な知見から議論がなされました。

「お酒を造る前準備として、生と火入れのどちらかに絞るべきでは」
「もっと論理的にコンセプトを決めることで、お客さんが理解しやすくなる」
「味、ブランド、コンセプトのうち、力を入れるポイントを絞るべきじゃないか」

と議論がなされ、チーム内でもただ意見に同意するだけではなく、反対意見も飛び出すなど白熱したディスカッションがなされたようです。
 
各チームにKURANDのメンバーが1人ずつ同席することで、お酒ができた背景やコンセプト、ターゲットなどを説明し、議論を整理しながら、話を進めていました。

各チームが特に力強く語っていたテーマが「ペアリング」です。

「『チーズ』や『お肉』という大きなくくりではなく、種類を限定すべきでは」
「そもそもペアリングをすることで、お客さんに選択の余地がなくなるのでは」
「日本酒は食べ物の臭みやえぐみを消す役割なのか、それとも生かすべきなのか」

など、日本酒の品質を高めるために、正面からあらためて日本酒の価値と向き合っていたのが印象的でした。

最優秀賞は徳島県・三芳菊酒造の「純米吟醸 SHINKA 阿波トロピカル」が受賞

そして、慎重な議論を重ねた結果、最優秀賞は徳島県・三芳菊酒造の純米吟醸 SHINKA 阿波トロピカルに決定しました。
 
その他、受賞した商品は下記の結果となりました。

【受賞作品一覧】
最優秀賞受賞
純米吟醸 SHINKA 阿波トロピカル(徳島・三芳菊酒造)

GOLD受賞(6点)
Rice Wine Te-hajime(兵庫/富久錦)
群馬 山廃純米吟醸(群馬/土田酒造)
Single Origine Sake 吉野 純米吟醸 2017(奈良/北岡本店)
I love choco 山廃本醸熟成古酒(埼玉/寒梅酒造)
白那(埼玉/滝澤酒造)
梧桐 大吟醸 超辛+10 しぼりたて生(山形/秀鳳酒造場)

SILVER受賞(12点)
梧桐 大吟醸 超辛+10(山形/秀鳳酒造場)
TAO 純米吟醸 生 2018(広島/梅田酒造場)
鈴木 純米吟醸 彩のかがやき(埼玉/寒梅酒造)
鈴木 純米吟醸 彩のかがやき 生(埼玉/寒梅酒造)
Single Origine Sake 佐渡 純米大吟醸 生 2018(新潟/天領盃酒造)
Single Origine Sake 奥能登 純米吟醸 2017(石川/数馬酒造)
Single Origine Sake 吉野 純米吟醸 2018 生(奈良/北岡本店)
ながおかのほし 特別純米酒(新潟/長谷川酒造)
酒を売る犬 酒を造る猫 純米吟醸酒(新潟/宝山酒造)
理系兄弟 純米吟醸(福島/有賀醸造)
TAO 純米吟醸 2018(広島/梅田酒造場)
MatCheese(徳島・三芳菊酒造)

BRONZE受賞(7点)
門出 -KADODE- 純米吟醸 しぼりたて生(島根/一宮酒造)
純米吟醸 SHINKA 瀬戸内ポワール(愛媛/千代の亀酒造)
bar362+3(京都/竹野酒造)
Single Origine Sake 津南 純米吟醸 2018(新潟/津南醸造)
KOE 純米吟醸 Yellow green & Light blue 生(栃木/西堀酒造)
酒を売る犬 酒を造る猫 純米吟醸酒 しぼりたて生(新潟/宝山酒造)
八男 無濾過純米酒 しぼりたて生(富山/玉旭酒造)

最優秀賞受賞した三芳菊酒造・馬宮杜氏からのコメント

このたびはたくさんの商品の中から最優秀賞をいただきとても嬉しいです。
 
商品審査会に出品されている商品は普通の商品ラインナップとは違い、全てコンセプトや方向性のしっかりとしたものばかりで、その中でも最優秀賞をいただけたということは、非常に名誉なことだと思います。
 
これは酒質だけに限らずこの商品のコンセプトが認められたということですので、この結果をいただき、さらなる商品開発、品質向上に努めてまいりたいと思います。


KURAND商品審査会を終えた審査員からは、
 
「酒質を高めるポイントはもちろん、ほかの酒蔵のお酒をいただくことで、現在のトレンドをつかめたのがうれしい」
「普段の審査会はあくまで酒質を問うもの。今回のようにパッケージを含めたコンセプトそのものを審査する会は珍しく、非常に学びになった」

 
などの感想があり、各々に収穫があったようです。


 
以上、「KURAND商品審査会」の様子をレポートをお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?

KURANDでは、このたびの結果を商品開発に活かすとともに、今後も定期的な審査会を開催するなど、さらなる品質向上に努めていきます。
 
なお、今回「KURAND商品審査会」にて受賞した出品酒は、KURANDの直営店の「KURAND SAKE MARKET」で飲むことができるので、ぜひ飲んでみてください。