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鈴木 將央

大好きな日本酒のために自ら動く。 新卒で飛び込んだ酒造りの世界。

2016/06/05

この記事は、一日だけ、他の誰かの人生を「another life.」の提供でお送りします。

 
20代の若さながら酒造会社の杜氏(とうじ)として、日本酒造りを行う和久田さん。実家が蔵元ではないのにもかかわらず、どうして日本酒職人を目指したのでしょうか。お話を伺いました。

微生物の働き、発酵に興味を持つ

静岡県の雄踏町で生まれました。人見知りな性格で、初対面の人には何を話したらいいか分からず、輪の外から見ているような子どもでした。そんな様子が、周りからは真面目に見えたらしいのですが、単純に声の掛け方が分からなかっただけです。むしろ、一度輪に入りさえすれば活発なお調子者でした。

小さな頃から祭りが好きで、率先してお囃子の太鼓を叩いていました。見ているだけではなく、参加するのが祭りの醍醐味ですから。祭り好きが転じて、次第に日本文化全般を好きだと感じるようになりました。

実家は乾物屋だったのですが、何となく、家業は継ぎたくないと思っていました。将来は大学に行き、どこかの企業に就職すると思っていましたね。

高校では生物の授業が好きだったので、生物の中でも少し変わった、微生物について勉強できる大学を志望していました。「若いうちに東京で経験値を積んだほうがいい」という母の助言もあり、東京農業大学の「醸造科学科」に進学しました。

醸造は、発酵作用を利用して食品やお酒を製造するもので、微生物を用います。発酵食品は日本の食文化の中で歴史があり、日本文化が好きな私に合っているとも思いました。

大学に入り、醸造を詳しく学んでみると、身の回りは思った以上に発酵食品が溢れていることに驚きました。実家の乾物屋で扱っていた鰹節が発酵食品だと、初めて知りました。その製法やメカニズムも面白かったですし、思った通り日本の食文化と密接に関わっていて、日本文化に関われていることが嬉しくもありましたね。

日本酒に関わる仕事をする

醸造科学科には、日本酒の蔵元の息子が何人もいました。彼らは、家を継ぐ気で来ているわけですから、「日本酒をもっと広めたい」とか「こういうお酒の味を伝えたい」とか、それぞれの信念を持っていました。

単純に「とりあえず家業を継ぐ」という気持ちではない、熱い想い。私も日本酒が大好きだったので、彼らと語り合ううちに、日本酒の良さをもっと伝えたい、と感化されていきました。

一方で、彼らに負けたくないとも感じていました。蔵元に生まれたわけではないけれど、日本酒を想う気持ちでは同じだと。そこで、将来は日本酒に関わる仕事をすると決めました。日本酒に対して何かしらの想いがあるなら、口先だけではなく動かなければ。卒業後は醸造に関わる仕事をするんだから、どうせなら日本酒に関わりたいと。

ただ、日本酒に関わりたいと言っても、販売職、製造職、研究職など、選択肢がある中で、どれかは決め切れませんでした。大学卒業時点では就職せず、大学院に進学して醸造に関してさらに深く学びながら、将来を考えることにしました。

最初は、研究職に惹かれていました。ただ、研究の結果が現場に活用されるまでには、長い時間がかかります。日本酒業界は低迷していたので、もっと早く、直接的に貢献できる仕事をしたいと感じるようになりました。

また、大学の仲間を見ていて、日本酒の造り手になりたいという思いが強くなりました。業界の中心にいるのは、やはり造り手。日本酒業界のことを思うなら、その中心で仕事がしたい。そうでなければ、同級生たちと対等に話せないだろうと。

自分で造ったお酒を飲んでみたい気持ちもありましたね。法律で禁止されているので、お酒を造るには酒造メーカーに入るしかありません。

そんな理由から、日本酒の造り手になろうと決めました。

入社初年度から酒造りを任せてもらう

日本酒の造り手になりたいといっても、普通はいきなりやらせてもらえません。酒造メーカーに入っても、数年は下積みです。自分も、入社すぐにではなく、将来的にお酒の企画や設計から関わろうと思っていました。

ところが、就職活動をする中で、入社1年目から酒造りができるという条件で人を募集している会社を見つけました。普通ならありえない環境。1年目に任せてしまうことに、「大丈夫なのかな?」と不安もありました。もし良い酒ができなかったら、会社の損害も計り知れませんから。

それでも、自分がやりたいのは、現場での酒造り。その軸はぶれないと分かっていたので、チャレンジングな環境に飛び込むことにしました。

入社すると、本当に初年度から「好きに設計していい」と言われ、予想以上に多くのことを任せてもらえました。とはいっても、私は酒造りなんてしたことがない素人。大学で勉強したと言っても、机上の空論。教科書通りにすれば「酒」にはなりますが、嗜好品としての美味しい酒になるかは別問題です。

そのため、初年度は手始めに普通酒から仕込みました。初めてなのでかなり気を遣い、1時間に1回は麹の様子を見に行くほどでした。分からないことは、大学の同級生に聞いたりしながら、少しずつ仕事の手順を覚えていきました。

お酒が完成した瞬間は、「失敗せずに無事できた」と、ホッとした気持ちが大きかったです。県の日本酒アドバイザーに出来をほめてもらい、「90点だ」と言ってもらえましたが、喜ぶ余裕もなく、ただただ安心するばかりでしたね。

ただ、うまくいくことばかりではありません。2本目に挑戦した大吟醸酒は、思い通りの出来にはなりませんでした。分かっていたことですが、知識を持つだけでなく、技術を積み重ねることが必要だとあらためて感じました。

日本酒の見え方が変わるような味

世の中では、香りの豊かな酒が流行していたり、「日本酒は辛口以外認めない」と言う人がいたりしますが、私は日本酒はそれだけじゃないと考えていました。色々な種類があってもいいだろうと。

そこで、会社では辛口に仕込んでいた純米酒を、濃厚で甘い味にする仕込みを試してみました。「見せる日本酒」として、これまでとは違う味を追求したかったんです。

できたお酒は、辛口が好きな会社の重役には、「甘過ぎる」と言われました。しかし、イベントなどで振る舞うと、日本酒をあまり飲んだことがないお客さんからは「こういう日本酒もあるんだ」と喜んでもらえました。

できる前は不安もありましたが、造って良かったと感じました。変なこだわりを持って造ったお酒でも、飲んでくれた人の「日本酒の見え方」が変わればそれでいい。日本酒を知る入口になればいいと。味に改良を重ねていき、そのお酒を会社として「豊明」というシリーズで販売するようになりました。

毎年の改善を積み重ねて少しずつ前進し、今年で酒造りを始めて5年目になります。私が勤める石井酒造では、春先からお酒の設計を始め、新米ができた10月頃から酒を仕込み、12月頃に新酒の出荷を始めます。

毎年、一本目のお酒の最初の一滴を絞る瞬間は、緊張します。いくら味を予想してお米や微生物を配合しているといっても、予想通りになるかは分からないですから。同時に、最高に嬉しい瞬間でもあります。この一杯を飲むために仕事をしていると言っても過言ではないですからね。

今年のお酒は、これまでで一番良い出来栄えでした。お米の調子も良かったのか、想像よりもいい感じでした。日本酒造りは、同じ原料や微生物を使い、同じ配分で混ぜても、気温や製造方法によって差が生まれます。それが、職人として難しいところであり、面白いところでもあります。

日本酒好きな人を増やしたい

個人的な酒造りのモットーは、「発酵は人が微生物をきちんと管理してこその発酵」です。大学時代の恩師の受け売りでもあります。

「何でも自然がいい」と言われることもありますが、発酵に関しては自然にしておくほど怖いことはありません。きちんと人が管理しないと、どうなるか分かりません。それこそ、酒はできるかもしれませんが、管理しないと、どんなお酒になってしまうか、想像もできません。ベテランの職人は、微生物やもろみと向き合い続けて、どう管理すればいいか体得しています。

私は、酒蔵の最高製造責任者である「杜氏(とうじ)」という役職ですが、まだまだ杜氏と呼べるような技術はありません。ベテランの職人さんと比べたら、足下にも及びません。それでも、毎年の仕込みで、ある意味では研究のようなかたちで仮説検証をしていきながら、技術を高めていきたいと思っています。

私には日本酒しかないので、これからも大好きな日本酒を造り続けていきます。そして、日本酒が好きな人を増やしたいですね。

個人的には、日本酒好きを増やすために、どんな手段でもやってみるべきだと考えています。固い業界ですが、もっとフランクに色々試してみるべきだと。まずは日本酒を知ってもらい、飲んでもらわなければ始まらないですから。

多くの人に、日本酒の新たな一面を知ってもらえるように、色々なことにチャレンジしていきたいです。
 
記事提供元:大好きな日本酒のために自ら動く。新卒で飛び込んだ酒造りの世界。
日本酒文化CH:https://an-life.jp/channel/187

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