
美味しいのは当たり前「飲みやすさ」にこだわった酒造り【福島県・峰の雪酒造場】
2022/05/10
KURANDでは、お客さまにすてきなお酒と出会ってほしいから、日本酒をはじめとした、300種類以上のお酒を販売しています。
そしてそのお酒すべてが、日本全国の酒蔵とパートナー契約を結び、共同開発によって造られたお酒です。
今回はその中でも、日本酒「喜雪」を造る福島県、峰の雪酒造場の杜氏、佐藤健信さんにお話を伺いました。
―まずは酒蔵の歴史を教えてください。
創業は昭和17年の10月です。昭和に入ってから創業という蔵はなかなか少なく、喜多方ではたぶん一番歴史が浅い、若い蔵になるのかなと思います。
もともと別に本家があり、そこから分家して創業したので、酒蔵自体は古く、200年前からある建物で酒造りをしています。
組織構成としては、繁忙期にプラスで何名か来てもらうことはありますが、基本的には少人数の家族経営です。
昔は普通酒しか造っていませんでしたが、8年ほど前から特定名称酒を造るようになりました。今では普通酒の生産量は全体の1割ほどとなっており、生産量のほとんどを特定名称酒が占めています。
―峰の雪酒造場さんのお酒造りの方針やこだわりを教えてください。
味へのこだわりは強いと思います。美味しいお酒を造っているのはどこも一緒で当たり前なので、さらに「飲みやすさ」というところに重きを置いています。
福島では、今のところ甘みがあってアミノ酸の少ない軽快なタイプが人気なので、その味わいを再現するように心がけています。
また、普通酒を造るときは機械を使っていましたが、特定名称酒を造るようになってから手作業が増えました。そういった面で「手造り」の酒造りにもこだわっています。
―峰の雪酒造場さんの現在の取り組みについて教えてください。
峰の雪酒造場では、毎年3~4種類の新商品を出しています。地元の素材で丁寧に醸した純米酒のシリーズものや、果物の果汁を入れたフルーツ系のお酒、あとは蜂蜜で造るミード酒です。
ミード酒に関しては、自社のオリジナル商品だけではありません。受注生産、委託生産というのが多くて、県外の蜂蜜養蜂家の方からの依頼を受けて、仕込みを行うこともあります。
余談ですが、まだ蔵自体の知名度が低かった頃に、ミード酒を造っていることから、「峰の雪」ではなく「蜂の雪」と間違えられるということがよくありました。
―今度の取り組みたいことや展望はありますか?
そうですね、海外進出は狙ってはいるのですが、正直なところ私たちのような小さい会社だと、直接取引きするのは難しいというのが現状です。
あと、福島県にはまだ輸出できない国があるので、そういう部分のハンデを乗り越える必要があります。
海外と取引きするための仲介役を担ってくれる方を探しているところではあるので、今後は輸出用のお酒も造っていこうかなと思っています。
―佐藤さんの経歴をお聞かせください。
1998年に東京農業大学の醸造科学科に入学し、5年間在籍していました。
その後、2003年に新潟の酒蔵に入社。卒業してすぐ実家に戻らなかったのは、大学で勉強したことは確かに酒造りなのですが、仕事にするとなると経験値が足りないと感じたからです。
他の会社で基礎を学んで、ノウハウを実家に持ち帰りたいという思いから新潟の酒蔵に入社しました。
そこで営業と製造を3年ずつ経験したのち、2009年に実家である峰の雪酒造場に戻り、製造部長を経て杜氏となりました。かれこれ10年ほど杜氏として酒造りを行っています。
―佐藤さんが普段日本酒を楽しむときに用意する、とっておきのおつまみはありますか。
自分で飲んで美味しいと思うようなお酒を造っているので、普段から自分たちで造ったお酒を飲むことが多いです。
それらのお酒に合うおつまみでいうと、喜多方のおつまみ「おくや」のピーナッツをおすすめします。
喜多方産のピーナッツを使っていて、福島県内でもかなり人気があるみたいです。味も10種類くらいあって、お酒によく合います。
あと、私たちの造るお酒は魚料理との相性が良いです。焼き魚やカツオのたたきなどと合わせて飲むことが多いですね。
―どうしてKURANDとお取引きすることになったんでしょうか。
お問い合せをいただいたのは、確か去年の秋ごろ、ちょうど一年前くらいだったと思います。
知り合いの蔵がKURANDさんと取引きしていると聞いていたので、お付き合いしていく上でどうなのかなと思って、事前にいろいろ聞いていました。
―実際にお取引きしてみていかがですか?
実際にお話してみて、企画担当の方は前のめりで、かなり熱意があるんだなという印象を受けました。いろいろな酒蔵さんと取引きするには、これくらいのパワーが必要なのかなと思います。
―では最後にこれを読んでいる方にメッセージをお願いします。
「喜雪」というお酒は、峰の雪酒造場の日本酒を知ってもらう良いきっかけになると思います。
まずはこれを飲んでいただいて、これからもっと峰の雪の味を知ってもらえればいいかなと思います。
(KURAND CLUB 2021年11月号 ニュースレターより抜粋)
峰の雪酒造場(福島県)
峰の雪酒造場は、飯豊山の清冽な伏流水を仕込み水に使用している、会津杜氏による酒造りが盛んな「蔵の街」福島県喜多方市の酒蔵です。
本家大和錦酒造より分家し、昭和17年創業と比較的歴史は浅いものの、独自の技術の研鑽を積んだ現4代目・蔵元杜氏が醸す地酒は、鑑評会や国際コンペティションなどで高い評価を受けています。
また、地元のみならず、多くの人々に愛される会津の地酒造りを目指して、日夜挑戦を続けています。
峰の雪酒造場のお酒
「喜雪」
雪解け水によってできた清冽な伏流水を使用。
搾りの中で最上級とされる「中取り」ならではの透明感のある味わいが印象的です。地名の由来の如く「喜び多きお酒になるように」という造り手の思いが詰まっています。