クランドのお酒を購入した方に配布される「クランドMAGAZINE Vol.4」より、スパイス界で人気の高いスパイス料理研究家・印度カリー子さんと、KURANDの商品開発担当者の対談記事を抜粋。「お酒×スパイス」の今後の可能性について探っていきます。
熱燗にすれば、日本酒もカレーに合う?
ーカリー子さんは普段、どのようなお酒を飲まれますか?カリー子 ワインやウイスキーは食事と合わせて楽しみますが、一番味わいとして好きなのは日本酒です。私は毎日カレーを食べているので、お酒も自然とカレーに合わせて選んじゃいますね。
青砥 毎日!味は日々変えるんですか?
カリー子 毎朝味噌汁を飲むという方が具材を変えて、味わいを変えるのと同じ感じです。赤ワインと合わせたい時は肉を使いますし、逆にお魚のカレーを作ったら梅酒や白ワインを合わせることも。日本酒は万能なんですけど、カレーと合わせる時は熱燗にしたりしますね。
青砥 日本酒って熱燗にすると旨み成分が出て、包容力が増すんです。個人的にスパイスは個性が強く凸凹したイメージがあるんですけど、日本酒はその凸凹を包むのが上手。例えば自然にある乳酸菌を使った伝統製法「生酛(きもと)造り」の日本酒は、熱燗にして酸味を引き出すとスパイスに合うと言われます。
カリー子 へぇ!面白いですね。
脳内で香りが調整できるよう、何度も訓練を重ねて
ーお酒とスパイス、合わせる時のコツなどはあるんでしょうか?カリー子 使う方法は主に2つ。1つ目は食事と同じような香りを持つお酒を合わせる方法。赤ワインのようなどっしりとした香りには、濃厚な香りを持つシナモンなどを合わせます。2つ目はその料理にない味わいなどをお酒で補う方法。合わせることで料理全体が仕上がります。
青砥 お酒でも前者をペアリング、後者をマリアージュと表現します。スパイスって種類も多いので、カルダモンとか親しみが薄い香りもあるじゃないですか。そこに日本酒を熱燗にして合わせたら思っていない甘みが出たりすることもあって、開発側としては面白いです。
カリー子 スパイスの香りはみんなが「いい香り」と思うものだけではないので、調整は必要です。私は両手に異なるスパイスを持って、左右の鼻で同時に嗅ぎ、それぞれの手を近づけたりしながら、丁度いい香りの度合いを探っていく……ということを毎日やっているうちに脳内で調香ができるようになりました。
青砥 訓練ですね!
クランドのお酒を通して、知らなかったスパイスの味を知ってほしい
ー「こういったスパイスのお酒をつくりたい、ほしい!」というのはありますか?青砥 まだ一部の人がスパイスにハマっているという印象があるので、私たちの開発するお酒で「このスパイスはこういう味なんだ」と知ってもらえたらと思いますね。ただフェンネルなど説明の難しいスパイスは、商品の説明でも前面に押し出しにくいのが悩ましいです……。
カリー子 私もスパイスを使った商品を開発しているのですが、例えばスパイスを使ったグラノーラでは、説明を一切省いて「スパイス好きのための朝食です」と言い切ることで、本当の「スパイス好き」に届けようと考えました。すべてスパイスが入っているお酒のシリーズを作ったり、スパイスに詳しいお客さまに「貴方のための商品だよ」と伝えることは大切ですよね。
スパイスを使えば、楽しい食生活が送れること間違いなし
ースパイス×お酒、いろんな可能性を秘めていそうです。
カリー子 スパイスを始めるなら、まずは1つのスパイスのちょい足しから始めるといいと思います。例えばコリアンダーは辛くない山椒のような香りをもっています。こちらにあるトマトのお酒(火の国の真っ赤なトマト酒)に入れれば、爽やかな香りが広がるでしょう。トマトと相性がいいことを覚えておけば、トマトがつく料理には全部コリアンダーが合います。最近はちょい足しレシピも増えてきているので、いろいろ試してみるといいですね。
青砥 お酒にもちょい足しカテゴリを作りたいですね。トマトのお酒が今までのクランドのお酒だとしたら、これからはトマトのお酒×何かスパイスというだけでも、新しい味わいのお酒ができる。
カリー子 スパイスを付属させるという方法もありですよね。例えば首掛けにスパイスをつけて、半分くらいまで飲んだら入れてねとか。
青砥 ありですありです!
カリー子 スパイスとお酒って奥が深いんですよ。最近はスパイスを使ったおつまみやスパイスの香りを移したお酒を提供するスパイス居酒屋が注目を集めています。これって他店との差別化にスパイスが使えるからだと思うんです。
青砥 そういえば今流行っているクラフトコーラもスパイスですね。スパイスのイメージなく世間に浸透していて、スパイスの可能性を体現できているのかも。
カリー子 スパイスって入り口は難しくないので、フランクに使ってほしいです。徐々に慣れ親しんでいけば、楽しい食生活が送れること間違いありません!
青砥 お酒とスパイスは、かけ合わせ次第で大きな変化をもたらせそうです。本日はありがとうございました!
印度カリー子
スパイス初心者のための専門店「香林館株式会社」代表取締役。スパイス料理研究家兼タレント。
「スパイスカレーをおうちでもっと手軽に」をモットーに、初心者のためのオリジナルスパイスセットの開発・販売をする他、レシピ本執筆、大手企業と商品開発・マーケティング、コンサルティングなど幅広く活動。
青砥秀樹
KURAND株式会社商品グループ マネージャー
島根県の酒蔵で6年間杜氏兼蔵元を経験し、酒蔵の全ての業務に従事。ゼロから新銘柄を造り出し、日本酒業界で多くのファンを生み出す。その後、KURANDに入社し、商品グループマネージャーとして全てのプロダクト開発を担当。