今回はそんな「理系兄弟」ができるまでの開発背景やこだわりを紐解いていきます。
理系の兄弟が導き出した、蔵に適したお酒
大学院の博士課程で研究をしていた理系兄弟の弟・裕二郎さん。2011年に実家である有賀醸造(福島県)に戻ってきましたが、当時の有賀醸造は職人さんの勘に頼った酒造りをしていました。このままでは技術の継承が困難になると危機感を覚えた裕二郎さん。研究者としての経験を生かしながら、まずは「有賀醸造に適したお酒」を導き出すことを決意します。有賀醸造が酒造りに使用する仕込み水は、ミネラル分の多い中硬水です。酒米は福島県生まれの「夢の香」で固定し、麹菌や酵母などの条件を細かに変えながら、小ロットのタンクで複数種類のお酒を仕込んでいきます。
仕込んだお酒の数値をデータ化し、分析する……作業を繰り返し、検証を続けること5年。ようやく蔵に適した酒質設計を導き出します。このようにして生まれた日本酒が、「理系兄弟」となりました。
現在、弟の裕二郎さんが杜氏、兄の一裕さんが専務として、兄弟二人三脚でお酒造りから販売までを行っています。
日本酒と料理とのベストな組み合わせを考える
「理系兄弟」を造る上で注目したのは酒蔵の仕込み水でした。酒蔵が使用するミネラル分の多い中硬水の仕込み水は、辛口のお酒になりやすい傾向にあります。その水の特性を生かした場合に「キレや余韻がありつつも、ふくらみを感じられる日本酒」ができあがると考えました。こうしたお酒は料理とも合わせやすいことから、「理系兄弟」では「料理とのベストな組み合わせ」を突き詰めていきます。
料理と合わせる上で重要となるのは、甘み・旨み・酸味のバランスです。「理系兄弟」では毎年、麹菌を変えることで甘みのニュアンスを調整しています。毎年のお米の出来などによって変化する味わいに合わせて、全体のバランスを整えながら、常に高いクオリティを維持しています。「理系兄弟」で試していただきたいのは、様々な料理との相性の良さを確かめる「ペアリング」。温度帯は常温もしくは冷やしていただいた状態で。塩味でさっぱりとした白身魚や脂身のあるお肉などまで、多種多様な料理ときれいにマッチします。皆さまにとっての「ベストな組み合わせ」をぜひ探してみてください。
計算され尽くした美味しさ、体感してみませんか?
多くの人々を魅了し続けている「理系兄弟」。理系出身の方も、理系ではなかったという方も。その計算され尽くした美味しさをぜひ体感してみてください。きっと誰しもがこの2人の、このお酒のファンになってしまうはず。
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