たくさんのお酒好きが集うクランドのスタッフ。中でも「我こそは日本酒好き!」という4人が集まり、日本酒に対する本気の思いを語っていただきました。
日本酒好きによる座談会、スタートです!(本記事はクランドMAGAZINE Vol.6からの抜粋になります)
「醸造酒」には、独特の魅力がある。
ーでは早速始めていきます!まずは皆さんが日本酒好きになったきっかけを教えてください。
Kota 僕はKURANDに入る前、料理の専門学校を出て、20歳のころから洋食料理店で働いていました。勉強のためにもいろいろなお店に行っていて、そのうちの1軒で飲んだ日本酒がおいしくて。「え、お米のお酒だよね? 日本酒ってこんなにフルーティで、 飲みやすいんだ」と感動したのがきっかけですかね。
Yoshino 私は学生時代にアルバイトをしていた日本料理店で初めて日本酒を飲みました。会席料理を出すきちんとしたお店で、日本酒を20種類くらい置いていて、20歳になった時に全商品試飲させてもらったんです。そこで料理長にペアリングの方法なども教えてもらっていました。
A-yan ちゃんと環境が整ってますね。なるべくしてお酒好きになった感じがする(笑)。
Kazuma 私は造りの方から日本酒好きになりました。地元が奈良県なのですが、奈良の酒蔵が集まって室町時代に使われていた「菩提酛(ぼだいもと)」という製法を復活させるというプロジェクトが行われていて、父が奈良県工業技術センター(現・奈良県産業振興総合センター)の研究員として参画していました。私も学生時代は化学系で、分析をしていた経験もあったので手伝っていました。プロジェクトが成功していくうちに、父親が楽しそうに日本酒の仕組みについて熱く語ってきたんです。そこでお酒を造るメカニズムが面白いと思ったのが始まりでしたね。お酒は幅広く好きなんですけど、醸造酒って独特の魅力がありますよね。
Kota 分かります。ワインも好きなんですけど、やっぱり醸造酒はいいですよね。
Kazuma 混ぜるだけではどうしても表現できない、「発酵」によって生まれる深みというか、複雑感っていうのが、特別な感じがします。
Kota ワインでも、同じブドウを使っていても年によって全然違うように、日本酒も同じ米を使っても全然違う。本当に個性が詰まっているなと感じます。
他のお酒を飲んでも、のめり込んだのは日本酒だけ。
A-yan 私は両親ともにすごいお酒好きで、飲んで帰ってきた時ってお酒臭いし面倒なんですよね。なので最初「お酒は良くないものだ」と思っていました。 考えが変わったのが、大学3年生の時。両親の友人が「おいしい日本酒を飲ませて、考え方を変えてやりたい」といって、小さな居酒屋さんに連れていってくれたんです。そこで舐める程度の量の日本酒をたくさんの種類並べてくれて。片っ端から飲んでいって、「どれが好きか苦手か」をマンツーマンで聞いていってくれたんです。
Kota すごい体験だね!
A-yan 自分の好みの傾向もわかりましたし、苦手な味わいがあった時は合うおつまみを出してくれて。その時にそのまま飲んだら苦手だと思ったものが、料理と合わせたらおいしいって感じたり。逆においしいと感じたものも、温度が変わると違う表情を見せたりするのが面白くて。その後、ほかのお酒も飲んだのですが、ここまでのめり込んだのは日本酒だけでした。
「おいしい!」って感動する顔を見たい
―皆さん普段から周りの人に日本酒を勧める機会って多いですか?
Kota 日本酒好きな人って分かっていればシェアしたりするけど……。日本酒にそもそも興味がない人って、日本酒を勧めても話が広がらない印象があるから、あえて勧めることはないかな。
A-yan 私は飲まない人にこそ勧めたいですね。自分の最初の入りがマイナスだったからこそ、感動した時の衝撃がすごくて、どハマりしたので。元々好きな人に勧めてもその感動は得られない気がしています。
Kota 結構ハードルが高そう……。
A-yan 大事なのは、「相手が自分を信頼してくれているかどうか」かなと。相手が私を信頼してくれていれば、勧めてみて合わなかったら、「また別の味で今度またリベンジさせて」と伝えられるので。
Yoshino 私もA-yanさんと同じタイプです。「日本酒、興味あるけど飲んだことないんだよね」っていう人に対して、一緒のお酒の席で自分が飲んでるお酒を「ちょっと飲んでみる?」っていう風にひと口飲ませることとか多いです。
Kazuma おすすめする理由は、おいしいものをシェアしたいって感覚が強いんでしょうか? 私の場合は、例えば一見合わなそうな洋食と日本酒を合わせてみて、固定概念から全然外れたところでバチッと噛み合った時が快感で。そういう時にこのおいしさを誰かにシェアしたいっていう感覚になります。
A-yan ペアリングが合った瞬間は気持ちいいですよね! 私はとにかく人が「おいしい!」って感動した瞬間の顔が見たいのかなと思います。
Yoshino 飲めないと思ってたのに「あれ、これは飲める」。みたいな感じの顔がいいですよね!それだけでお酒のアテになります(笑)。
料理に合わせても選んでも、ラベルで選んでも
―皆さん、量は結構飲みますか……?
Kazuma 最近は2合行くと結構気持ちよくなっちゃうんで、1合(180ml)でやめるようにしています。
A-yan 偉いですね(笑)。私は夫と四合瓶(720ml)を開けて、「これは絶対時間を置いたらおいしくなるから半分でやめようね」って言ってるのに、1時間くらいで飲んじゃうんです……。
Kota 家だとつい飲み過ぎちゃうよね。
Yoshino 私は外で飲む派ですね。
Kota 外だとお店にあるお酒をちょっとずついろいろ試せる、家だと飲み比べても2、3種類ぐらい。でもその分、好きなお酒を買って、安く長く飲み続けられる。
Yoshino それはわかっているんですけど、買う勇気がないんです。この1本を何ヶ月で消費できるんだろうと思うと……。
Kota 1回でそんなに量は飲まないの?
Yoshino 飲めるんですけど、 次の日とかを考えると飲めなくて。それに飲むと、しばらく飲まなくていいなっていう期間があって。 そうなると、どんどん品質が悪くなるし……。
Kota なるほどね。苦手なお酒が当たっちゃうとしんどいかも。私は好きなお酒をリピートするタイプかな。作った料理と合わせたいので、欲しいお酒像があるんですよ。逆に初めて買うお酒の時は、スペックを見て「お刺身がいけそうだな」って感じで買います。で、どの魚が合うかわからないから、いろいろな魚介類を買ってみて、それぞれ少しずつ一緒にお酒と合わせてみる。妻も日本酒好きなんで、一緒にあーでもないこーでもないって言いながら楽しんでます。
A−yan 私逆で、選ぶ時は直感で選ぶんですよ。一目惚れです。届いて初めてスペックを見る。あとはSNSでみんなの反応を見て、おつまみを選んで。飲めない日本酒はあまりないですが、どうしても合わない時はカクテルにしてます。
Yoshino 私も直感タイプで名前が可愛いとか、「白」って名前に入っていたらすっきりしてるのかなとか想像して購入します。
Kazuma 私は職業柄勉強したいって感覚が強かったんで、好きなお酒を置いている飲み屋さんとかに行って、 そこでそのお店がチョイスしたお酒を飲んで勉強しています。あとはマスターに「このお酒に合う食べ物と料理教えて」といって出してもらったり。
「これは何が合うんだろう」と考えるのも面白い
A-yan 最近って飲み屋さんにいくとどこのお店も同じ銘柄ばかり置いてあるというのが多くないですか? なので私は外で飲む時は逆に見たことも聞いたこともないお酒を選ぶようにしてます。
Kota それって失敗することないの?
A−yan 最初に繋がりますけど、苦手だなと思ったものでも、ペアリング次第でおいしくなる可能性がある。 逆にこれは何が合うんだろうって考えるのも面白いですし!
Kota 私は特定名称で選ぶのが、1番わかりやすいと思うんですよね。純米酒か大吟醸酒かで、大体の味の幅は決まってくると思う。裏ラベルに書いてある酸度や日本酒度は参考にしてますけど、酒屋さんに行ったら、店員さんに聞く方がいいと思います。「何と合わせたいか」を伝えると、大体外れのないものが出てくるんじゃないかな。おでんとお刺身に合わせるもので、全然違うタイプのものが出てくると思うので。あとは失敗したくないなら、自分の好みを知ることが1番大事ですよね。
お酒の好みを知りたいなら、とにかくお店へ
―自分の好みを知るのに、裏技とかないんでしょうか……。
Kota やっぱりお店に行く。少しずつ飲んで、好きだったお酒を写真で撮っておく。酒屋さんに行って、店員さんに写真を何枚か見せながら「似た系統のお酒ありますか」って言えば、わかる店員さんなら近い味わいのお酒を勧めてくれます。裏ラベルも合わせて撮っておくと尚いい。あと少し酸味が強いとか、甘すぎるとか、苦手な味わいも伝えられるといいですね。
Kazuma 楽しみ方を広げるというのも大切ですよね。クランドの商品ページのストーリーとかも重要な役割があると思うんです。例えば「〇〇の花のような香りが入ってます」って書いてあるから、探しながら飲むとその香りに気づけて、今後他のお酒を飲む時もその香りを認識できるようになって、より日本酒を楽しめます。
若い人たちにも「一旦飲んで」ほしい
―どちらもさまざまな日本酒で試してみたくなりました!それでは最後に、あなたにとって日本酒とは何かを教えてください。
A-yan 私はお酒のイメージが「苦手なもの」から「好き」になった瞬間に180度変わって、その勢いでお酒の会社入ろうとなって、そのままKURANDにいるので……。自分にとって日本酒は「人生を変えたもの」ですね。
Kota 壮大だ! 私は自分にとって日本酒とはって言われたら、「料理とともにいなくてはならない存在」です。食事を楽しくするためのアクセサリーのような存在ですね。
Yoshino 私は若い人に日本酒を広げたいという気持ちが強くて、KURANDに入りました。日本酒を好きな人が増えてほしいのが本心ですけど、まずは若い人たちに「一旦飲んでもらう」ということを仕事を通じてやっていきたいと思っています。
Kazuma おいしいものを食べた時に思わず共有したくなるように、日本の誇れる文化である「日本酒」も世界中の人に「共有したい」と感じてほしい。そういう存在となれるようなお酒を造っていきたいです。
―皆さんありがとうございました。これからも日本酒愛を語っていきましょう!