200社以上の全国の酒蔵とともに、たくさんの新商品開発を行っているクランド。
クランドスタッフたちは商品理解のために、定期的に「KURA修行」という機会を設け、酒蔵の業務をお手伝いしながら、酒造りの知識を学んでいます。 今回は、10月に山梨県のワイナリーを訪れた様子をお届けします。
今回お邪魔した酒蔵
岩崎醸造(山梨県甲州市)
日本最大のワイン産地・山梨県。その中でも特にワイナリー数が多いという勝沼町に蔵を構えています。
岩崎醸造は、この勝沼の地で代々ぶどう栽培を営む農家130軒の手によって創業したという一風変わった経営基盤をもつワイナリー。今なお農家たちによって支えられ、地元を中心にワインの製造・販売をしています。
クランドの商品では「ヨガねこワイン」や「プロローグ」、「隠れ猫ワイン -窓辺-」などを展開しています。
ワイン造りに挑戦
日本一のワイン産地へ
AM8:00、最寄り駅の勝沼ぶどう郷駅に到着しました。
天気は驚くほどの快晴!まさにぶどうの収穫日和です。
駅に降り立つと、一面ぶどう畑が広がります。これが日本一のぶどう産地、甲州市勝沼町の風景。クランドでもお世話になっている複数の酒蔵がある地域です。
岩崎醸造に到着
車に乗って10分程……岩崎醸造に無事到着。代表取締役社長の白石壮真さんが、出迎えてくれました。
白石さんは大学からワインを専門に学び、ワイン輸入商社を経て、外部から岩崎醸造に入社。入社からわずか3年で社長になったという、珍しい経歴の持ち主です。
笑顔で出迎えてくれた白石さんに連れられ、ワイナリーの自社畑に向かいます。
今回のお手伝いではぶどうの収穫から少しワインの仕込みまでをお手伝いさせていただけるとのこと。クランドスタッフもなかなか仕込みまで見る機会はないので、期待が膨らみます。
岩崎醸造は地元で代々ぶどう栽培を営む130軒の農家の手によって創業されたという少し変わった経営基盤を持つワイナリーです。契約農家のぶどう栽培を中心に、1haもの自社畑でぶどう栽培を行っています。
栽培品種で大きな割合を占めるのが日本生まれの白ぶどう用品種として高い人気を誇る「甲州」、そして「甲斐ノワール」。
今回のお手伝いでは、後者の「甲斐ノワール」の収穫をお手伝いします。
あまり聞きなじみのなかった「甲斐ノワール」。
山梨県で生まれた黒ぶどう品種で、赤ワイン用ぶどう品種として名高い「カベルネ・ソーヴィニヨン」と「ブラック・クイーン」の交雑で生まれた品種だそうです。
白石さんによると、「カベルネのエレガントさ、そしてブラッククイーンの野性味を併せ持つ品種」とのこと。クランドで販売している「GUARANTEE WINE #193」にも使用しています。
収穫作業スタート!
早速、作業の方法を教えてもらいます。
ぶどうの収穫は、大きく手摘みと機械摘みがありますが、岩崎醸造では手摘みを行っています。手摘みではただぶどうを収穫していくわけではなく、良いもの選別していく必要があります。
まずはぶどうを根本からカット。
その中でも、傷んでいるものや、赤みが薄い未成熟のぶどうは切り落としていきます。
赤ワイン用品種である甲斐ノワール。色味が薄いぶどうが混ざると、その分ワインの赤色も薄まってしまうのだそう。
一粒一粒でワインの品質が変わると思うと、身が引き締まります。手間はかかりますが、手作業でやる意義を感じますね。
そして赤いかごがいっぱいになるまで、どんどんぶどうを入れていきます。
1房が250gで一かご11.5kgを目指していくため、1かごあたり約44房程を入れていきます。総量にして1t以上の収穫を目指します。
白石さんを含む岩崎醸造のスタッフ6名と、クランドスタッフ4名がペアを組みながら、ぶどうを収穫していくことになりました。
「いざ作業へ!」とハサミを装備した瞬間、白石さんから声がかかります。
「何とかして、今日この一面の収穫を午前中に終わらせましょう!でないと午後に仕込みができないので!」
え……一面って……
(結構広い気がするけど、終わるのだろうか…)
気合が入るクランドスタッフたち。タイムリミットは3時間ほど。これは集中しないと本気で終わらない。
狩って……
狩って……
予定より若干オーバーはしましたが、どうにかお昼近くにして終了。
今回収穫した量は1.2t!
器用さ、よいぶどうを見極める判断力、経験値、そして体力。広い敷地内で素早くも丁寧に選定していくことが、確かな質のワインを造るための大事な工程になります。
仕込み作業へ
午後はいよいよ、仕込み作業です。
収穫されたぶどうをこの後は発酵する工程に入るのですが、その前に梗(こう)という枝や茎などを取り除き、実だけにしていく必要があります。それが「除梗(じょこう)」という作業です。
加えてその実を、果皮が破ける程度につぶしていく「破砕」という作業を行います。
岩崎醸造では、これらを同時に行う「除梗破砕機」を採用しており、ここから直接ぶどうを発酵させるタンクに入れていきます。
順を追って説明します。
まず機械上部より収穫したぶどうを投入。ここはとにかくスピード勝負です。
するとその下から梗が取り除かれた実が出てきます。
こんな感じです。
そして、その実を軽くつぶしていき、繋がれたホースから吸入すると……
ホースの先にあるタンクに、ぶどうが入っていくという流れになります。
果汁、果肉、果皮、種子がすべて混ざった状態のものに、酵母を加え、時間を置くこと10~15日ほど。酵母がぶどうの糖分をえさにアルコールと二酸化炭素(炭酸ガス)を発生させていき、発酵が進んでいきます。
発酵後、果汁をタンクから抜き取り、残った果皮や種子をプレス(圧搾)して果汁を最後まで搾りだしたらワインの完成です。その後は、味わいを落ち着かせるために、木樽やタンクに保管して、熟成をさせていきます。
今回の1.5tのぶどうは、約1時間ほどで1つのタンクをいっぱいにしました(写真はまだ途中のものです)。
一大産地で愛されるワインを、全国へ
元々農家が協力して創業した背景をもつからこそ、地元農家との強いつながりをもつ岩崎醸造。地元農家さんから高品質なぶどうを入手できる関係が築けていることも、高い品質のワインが造れる理由のひとつです。
現在、お客さまの多くは地元の方だといいます。ワインの地で、地元の方に愛され、信頼されるワインというだけでも、その質の高さを物語っています。
「クランドの商品を通して、県外の方にも山梨のワインを届けることができるのは大きなチャンスだと思っています」と白石さん。
高い品質を維持しながらも、ロゼワインやオレンジワイン、さまざまな品種を使ったワインなど、常に新しいものに挑戦をし続けていると言います。これからどんな商品と出会えるのか、より楽しみになりました!
筋肉痛になりましたが、繊細で奥深いワイン造りの世界を実感できた1日になりました。岩崎醸造の皆さま、ありがとうございました!