商品開発を担当しているみてらです。
普段のウイスキーを味わうなかで、ほんの少しだけ「物足りなさ」を感じてしまう時があります。
開栓したての若いお酒特有の、すこし刺々しいアルコールの輪郭。
これがもし、何年も樽の中で眠りについていたような、丸くてリッチな余韻に化けてくれたら。
そんなささやかな願いを叶えてくれる、不思議な「自宅熟成スティック」のお話です。
いつものお酒に、小さな魔法を落として
スティックを、ウイスキーの小瓶に沈めます。
木の表面から細かな気泡が立ちのぼり、静かにお酒と馴染んでいくのが分かります。
「プロの熟成技術を自宅で」。
最初は少し大げさに聞こえたその言葉も、瓶のなかで日ごとに深みを増していく琥珀色を眺めていると、「なるほど」と自然に頷けました。
1週間も経つと、香りの変化がはっきりと現れます。
個人的におすすめの飲み頃は、ウイスキーなら2週間から1ヶ月ほど。
昨日よりも今日、今日よりも明日。
自分だけのヴィンテージが静かに育っていく過程は、なんともいえない贅沢な待ち時間になります。
焦がさない「熱風」が引き出す、純粋な木の甘み
一番驚いたのは、一口飲んだときの雑味のなさでした。
木材の香りを移すとなると、どうしてもえぐみや「生木っぽさ」が出てしまうのではないかと思っていました。
けれど、このスティックは直火で表面を焦がすのではなく、コンピュータ制御された「対流熱(熱風)」で木の芯まで均一に加熱されています。
だからこそ、焦げ臭さのない、純粋なバニラやキャラメルのような木の甘みだけが、ゆっくりとお酒に溶け出してくれるのです。
用意されているのは、2つの銘木。
ふわりと濃厚な甘みが広がる「アメリカンオーク」は、いつものデイリーなウイスキーをうんとリッチにしてくれます。
疲れた心身を、ただひたすらに甘やかしたい夜にぴったりです。
一方、「フレンチオーク」は、シナモンやダークチョコレートのような複雑なスパイス感が魅力。
スコッチウイスキーなどに合わせて、ページをめくりながら静かに読書を楽しみたい夜に選びたくなります。
基本的には成分を凝縮させているため1回使い切りですが、使い終わったスティックにはお酒の甘い香りがたっぷりと染み込んでいて、捨てるのが惜しくなるほど。
次はジンに沈めて、ジュニパーベリーの清涼感とオークのスパイス感がどう混ざり合うのか、小さな実験をしてみたいと企んでいます。
プロの道具を、私たちの日常に
本来、この熟成スティックは、世界中のワイナリーや蒸留所のプロたちが「高価な樽を買う前に、数年後の味を試すため」に使う専用の道具です。
樽の製造過程で出る端材を使用しているため、木材不足のなかでも環境負荷を抑え、限りある資源を大切に使い切るという背景も持っています。
そんなプロフェッショナルな道具だからこそ、どうしても皆さまの日常にお届けしたくて。
必要な数だけを確実にご用意できる「クラウドファンディング」という形をとらせていただきました。
明日の夜は、どんな香りが待っているだろうか。
静かに変化を愛でるその時間が、日常を少しだけ豊かにしてくれますように。