日本酒の味わいを分類するひとつの指標である「辛口」「甘口」。日本酒の「辛い」というワードは一体何を表すのか、疑問に思うことはありませんか?
この記事では日本酒における「辛口」とはなんなのか、その解説と人気の理由、さらには選び方のポイント、おすすめの商品までをわかりやすくご紹介します。
これがわかれば、自分に合った日本酒を見つけられたり、日本酒がもっと楽しくなるはずです。
辛口日本酒とは?
じつは定義が曖昧な「辛口」
辛口日本酒とは一般的に「甘味が少なく、すっきりとした味わいが特徴の日本酒」を指します。
しかし「辛口の日本酒」は、飲みやすさや後味のキレのよさ、アルコールによるキレのよさを表現していることも多くあり、飲み手の味覚や好みによっても変化する曖昧な指標でもあります。
糖分を抑えた辛口の日本酒は、甘さが控えめなため日本酒ならではのキレや旨み・酸味を感じやすいという特徴があります。また、ドライな口当たりやすっきりと爽やかな味わいのものが多く、お刺身や塩気の強い料理との相性が良いのも魅力です。
辛口を見る基準「日本酒度」
曖昧な「辛口の日本酒」ではありますが、辛口を判断する主流な指標があります。それが「日本酒度」です。辛口酒を「甘口ではない日本酒」と考えた場合、「糖分の量」で見極めようというものになっています。
日本酒度とは、水と比較した時のお酒の重さを示す数値のこと。糖分などお酒に含まれるエキス分が多いほど、液体自体は重く、マイナスの値を示します。そのことから、下記のように辛口と甘口に分類します。
- プラス値の日本酒:「辛口」とされることが多く、スッキリとした味わい。
- マイナス値の日本酒:甘口で、まろやかな風味が特徴。
一般的には、日本酒度が+3.5以上のものを辛口の日本酒と呼ぶことが多いです。日本酒度は、商品の裏ラベルやクランドのお酒であれば。商品情報に記載をされていますので、確認してみてください。
辛口日本酒とは?
辛口日本酒の歴史
辛口の日本酒が人気となった背景には、1980~90年代にあった「淡麗辛口ブーム」があるとされています。
第二次世界大戦後の日本酒は、原材料不足から日本酒にアルコールを添加してカサ増しした「三増酒」が主流となっていました。
この三増酒には糖類などを追加したべたっとした甘さのお酒が多くあり、すっきりとした味わいの日本酒が求められていたのです。
その中で注目を集めたのが、新潟県で主流となったすっきりとしたキレのよさを特徴とした「淡麗辛口」の日本酒でした。
辛口日本酒が人気の理由
現在でも、日本酒といえば「辛口」というイメージは根強いです。今も尚辛口日本酒が人気を集める理由は、食事との相性の良さが挙げられます。
日本酒の代表的な魅力の一つが、食事と楽しめること。中でも辛口の日本酒はその点が秀でたものが多いです。
すっきりとした辛口酒であれば、淡白な料理と合わせてもその味わいを邪魔することなく引き立てます。濃厚な味わいの辛口酒であれば、脂の多い料理や濃い味付けの料理などと合わせても負けることがありません。
このように食事との楽しみを追求できる点も「辛口酒」が長く愛されている理由と考えられます。
辛口の日本酒が合う人とは?
では、辛口の日本酒が好きになる人に傾向などはあるのでしょうか?辛口酒の特徴から、下記のような嗜好がある方は、辛口の日本酒を好きになる可能性が高いかもしれません。
①「甘さ」が苦手な方
甘くない日本酒と分類されることが多い辛口日本酒。そのため、スイーツなどの甘いものが苦手な方、また以前に日本酒を飲んだ際に「甘くて苦手」と感じた経験がある方は、辛口の日本酒を好む可能性もあります。
②「お酒は料理と楽しみたい」派の方
料理との相性が非常によい辛口日本酒。お酒は食事の時間に楽しむという方は、辛口の日本酒を選ぶと好みの味わいと合いやすい傾向にあります。
③日本酒初心者の方
初めての日本酒の選び方はさまざまありますが、日本酒を飲むという方には、まずクセの少ない「淡麗辛口」(後述)の日本酒から試してみるというのも選び方のひとつです。
甘さの少ない淡麗辛口の日本酒は、好みがわかれにくい味わいです。ここから試すことで、日本酒そのものが得意か不得意かがある程度わかるともいえるでしょう。
好みに合った辛口日本酒の選び方
ひとえに「辛口酒」といっても、その味わいが幅広いのはここまで解説してきました。では、好みに合う辛口酒とはどのように選んでいけばいいのでしょうか。
ここでは辛口酒の中でも、より自分の好みに合った味わいを探す指標となるものを紹介していきます。
【辛口酒の選び方①】淡麗か濃醇か
日本酒には日本酒に酸味や旨味をもたらす「有機酸」の量を表す酸度という指標があります。酸度が高ければお酒の味わいにキレや爽やかさが生まれ、酸度が低ければコクやまろやかさが出ます。
クランドでは冒頭で話した「日本酒度」に「酸度」を組み合わせて、辛口日本酒をふたつに分類しています。
- 濃醇辛口酒:酸度が高い=コクや旨味、まろやかさのある辛口
- 淡麗辛口酒:酸度が低い=すっきりとした軽快な飲み口の辛口酒
【辛口酒の選び方②】アルコール度数で選ぶ
日本酒は、できあがる前に水を加える「割水」という作業があります。割水をすることでアルコール度数と味わいのバランスの調整が可能となります。
アルコール度数が高い、すなわち割り水をしていない「原酒」に近い日本酒ほど、重厚感が増して、飲み応えのあるお酒になります。
一方、アルコール度数が低い日本酒ほど、口当たりが軽く、飲みやすくなる傾向があります。
【辛口酒の選び方③】地域で考える
日本酒はその土地ごとに気候や歴史、適したお米などが異なることから、地域ごとにある程度味わいの傾向があります。
例えば、新潟県を代表とした「淡麗辛口」のお酒は中部地方や東北など比較的北部に多いです。一方で、兵庫県や富山県などではどっしりとした「濃醇辛口」のお酒が多くあります。
このように、自身の気に入った日本酒があった際に、どこの都道府県で造られたお酒だったかを確認することで、より好みの日本酒に出会える確率が高くなることでしょう。
辛口日本酒の楽しみ方
【ペアリング①】淡麗辛口酒
さっぱりとした淡麗辛口酒は、繊細な料理の風味を引き立てます。相性がいいのは、白身魚のお刺身やカルパッチョ、焼魚など。そのほかお肉であれば蒸し鶏のサラダなど、淡白なお料理とはお互いの味わいを引き立て合います。
【ペアリング②】濃醇辛口酒
どっしり旨味たっぷりの濃醇辛口酒は、濃厚な味わいの料理にも負けないことが魅力のひとつ。
お肉料理なら角煮や焼き鳥のタレなどしっかりと味わいの料理、魚料理でも味の染みた煮魚などがおすすめです。
【おすすめの温度帯と酒器①】淡麗辛口酒
淡麗辛口酒の特徴であるすっきりとした飲み口を存分に楽しむには、冷蔵庫で冷やした5~10℃程度の冷酒がおすすめです。
酒器は、香りを楽しむためにもワイングラスや薄手の酒器などを選ぶといいでしょう。
【おすすめの温度帯と酒器②】濃醇辛口酒
旨味のしっかりある濃醇辛口酒はお米の旨味を存分に生かすには温かくするといいでしょう。15~20℃程度の常温のほか、軽く40~45℃程度まで温めることで、風味がより引き立ちます。
酒器はお猪口や、温める際はもしご自宅にあれば徳利などを使用してみるとよいでしょう。
おすすめの辛口日本酒5選
「淡麗辛口」と「濃醇辛口」に分けて、それぞれ日本酒度の低いものから紹介していきます。
初心者向けの淡麗辛口酒
理系兄弟
理系の兄弟蔵元が、綿密な酒類設計をもとに開発したバランスの良い辛口日本酒。クセが少なく、爽やかな香りとさっぱりとした味わいのため、はじめての日本酒にぴったりの1本です。
価格 1,990円(税込)
華やかで飲みやすい淡麗辛口酒
カラクリ花火
岡山県産の酒米「雄町」を100%使用した、華やかな香りと繊細な味わいを楽しめる純米大吟醸酒です。すっきりとした味わいと華やかな香りは、幅広い層に好まれる味わいの傾向のひとつです。
価格 3,290円(税込)
アルコール度数19%!キレの良さも抜群の濃醇辛口酒
絶 -zetsu-
辛口の限界に挑んだ、日本酒度+18と他に類を見ない超辛口の日本酒です。鋭く美しいキレと、洗練された旨みを感じる味わいは、辛口好きの舌も唸らせます。
価格 2,290円(税込)
この商品を詳しく見る温めて旨味を楽しむ濃醇辛口の日本酒
近江CLASSIC DRY
柔らかな口当たりとフルーティな香り、心地よいキレと酸味が魅力の辛口の日本酒です。温めると旨味が膨らむので、温度による味わいの変化まで楽しんでいただきたいです。
価格 1,790円(税込)
ギフトにもおすすめな淡麗辛口酒
金銀 -KEEN GUIN-
茶聖・千利休が茶の湯にも使用したといわれる「金明水・銀明水」と同じ水脈の地下水で醸した純米大吟醸酒。雑味のない透明感のあるクリアな味わいとスタイリッシュなラベルデザインは、ギフトにもおすすめです。
価格 3,300円(税込)
まとめ
辛口の日本酒の解説から好みの辛口酒を選ぶ方法、そしておすすめ辛口酒5つまでをご紹介しました。
お気に入りの辛口酒に出会えれば、きっともっと日本酒のことを知りたくなるはずです。ぜひ、気になる辛口酒を探してみてください。