今回ご紹介するのは「禁断の葡萄酒」。
山梨県産のマスカット・ベーリーAと、凍らせて甘さだけを抽出した巨峰の果汁を重ねた、極上の甘口赤ワイン。
「ワインなのに、しっかり甘い」を追いかけた1本について、開発の舞台裏をお届けします。
プロフィール
はじめ
酒蔵と相談しながら素材の選定からブレンドなど、どんな設計にするかを決める商品開発を担当している。
担当商品は「Black Opal」や、「ショコラ・ノワール -Brandy & Red wine-」など。
目指したのは、子どものころ想像した「葡萄酒」の味
──今回の「禁断の葡萄酒」、まずは開発のきっかけから教えてください。
私、極甘口のデザートワインが、昔から大好きなんですよね。
「ちゃんとワインっぽいけど、しっかり甘い」、この両立を絶対に譲らない赤ワインに挑戦したかったんです。
──言葉にするとシンプルですが、両立させるのは難しそうです。
本当に難しいです。
甘さに寄せすぎるとジュースのようになってしまうし、ワインらしさを立てると甘みが物足りなくなる。
イメージしていたのは、子どものころに「葡萄酒」と聞いて想像した、あの味わいなんです。
まだお酒を飲んだことがない頃に思い描いた、濃密で甘い、ちょっと憧れの飲みもの。
あの感覚の再現を目指しました。
軸を担うのは、山梨のマスカット・ベーリーA
──このお酒に使われているぶどうについて、教えてください。
まず軸になるワインには、マスカット・ベーリーAを使っています。
日本の赤ワイン用の品種で、穏やかな渋みと酸味を持っているのが特徴です。
それでいて、いちごや綿菓子を思わせるような、甘い香りがあります。
──なるほど、香りが特徴的なんですね。
そうなんです。
極甘口に仕上げるなら、この香りをメインにしたワインを軸にしようと思いました。
渋みや酸味がしっかりしすぎていないぶん、甘さと相性がいいんですね。
ここに甘みを足していくイメージで、設計を組み立てていきました。
ぶどうの王様の、甘さだけを抽出する
──では、甘みの部分はどうやって出しているのですか。
巨峰です。
甘口に仕上げるために、凍結濃縮した巨峰の果汁を加えています。
巨峰はいわゆる生食用のぶどうなので、ワイン用のマスカット・ベーリーAに比べると渋みや酸味が少なくて、そのぶん甘みと香り、コクが強いんです。
──その凍結濃縮というのは、どういう製法なのでしょう。
果汁を凍らせて、糖分や香りの成分が凝縮された部分だけを抽出する方法です。
ポイントは、熱を一切加えないことです。
加熱して煮詰めると手っ取り早く濃縮はできるんですが、どうしても果実のみずみずしさや自然な香りが飛んでしまいます。
巨峰は「ぶどうの王様」と呼ばれるだけあって、甘さと香りが際立っています。
その果汁をさらに凍らせて濃縮することで、ワインの中に、みんなが知っているぶどうの濃厚な甘さと香りを表現できました。
ワイン用のマスカット・ベーリーAと、生食用の巨峰、本来なら一緒には使わない組み合わせを合わせたことで、この甘さは実現しました。
──この「禁断」の組み合わせから、濃厚な甘みが生まれたんですね。
本来交わらない二つを、あえて重ねる
──では、そのワインと果汁を、どのように組み合わせているのですか。
醸造済みのマスカット・ベーリーAのワインに、巨峰の濃縮果汁を重ねています。
参考にしたのは、ドイツの伝統的な甘口ワインの製法で、「ズースレゼルヴ」と呼ばれるものです。
──ズースレゼルヴ、聞き慣れない言葉です。
完成したワインに、発酵させていない果汁をブレンドして、ぶどう本来の甘みを表現する製法です。
今回はそこに凍結濃縮の技術を掛け合わせています。
──味わいとして、どんな効果が出ましたか。
普通に果汁を発酵させただけのワインでは出せない、凝縮感のある甘みと、ぶどうの香りが表現できました。
甘い、けれどもしっかりとしたワインを目指して
──そんなこだわり製法のこのワイン、ずばり、味わいのポイントは、どこでしょう。
注目してほしいのは、立体感なんです。
ちゃんとワインを思わせるボディがあって、そこにコクのある芳醇な甘さが乗っている。
色もほぼ赤ワインと同じ、やや濃いめの赤で、見た目からしっかりワインです。
口に含むと、まず甘みがくる。
でも、じんわり渋みや酸味が顔を出してきて、平坦な甘さでは終わらないんですね。
余韻には甘さが残りますが、ワインの軸が最後まで残っているから、厚みのある味わいになる。
ここが、ただ甘いお酒とは一味違うところです。
──甘みの一方で、しっかりとワインの深みも感じられる。赤ワインに苦手意識がある人でもどんどん飲めますね。
ワインにちょっと憧れがあるけれど、渋いのはまだ得意じゃない、という方には特におすすめです。
あとは、ぶどうそのものが好きな方や、甘いお酒が好きな方ですね。
「甘くて飲みやすいけれど、ちゃんとワイン」なので、最初の1本としても入りやすいと思います。
最高の晩酌を最高の甘口ワインで
──おすすめの飲み方や、合わせる料理はありますか。
まずはストレートで、しっかり冷やして飲んでほしいです。
料理なら、照り焼きチキンや、たれの焼き鳥。
醤油や甘辛い味付けとの相性がとてもいいんです。
マスカット・ベーリーAと甘辛だれは、もう鉄板の組み合わせなので。
それから、キンキンに冷やして、バターの効いた洋菓子と合わせるのもいいですよ。
チーズを添えるだけでも十分楽しめます。
デザートワインとしての一面が、ぐっと引き立ちます。
──聞くだけで最高の晩酌が頭にうかびます。渋みに苦手意識がある人でもどんどん飲める赤ワイン、ぜひ手にとっていただきたいです。
ぶどうが紡ぐ、抗えない濃密な甘さ
巨峰を凍らせ、甘さだけを丁寧に抽出し、マスカット・ベーリーAのワインと合わせました。
手間を惜しまなかったからこそ生まれた、甘いのに芯のある1本です。
禁断の味わいを、ぜひ晩酌のお供にお試しください。
