お酒好きのためだけに作られたおせち「禁断のおせち」。2026年、クランド初のおせちとして誕生し、日本酒・ワイン・クラフトビール……あらゆるお酒に合う21品を二段重に詰め込んだそのコンセプトは、多くのお酒好きから支持を集めました。
2027年、「禁断のおせち」はリニューアルを経て、20品のメニューとともに再び登場しました。今回はリニューアルを担当したスタッフ・しみずに、開発の裏側をたっぷりと聞いてきました。
商品開発チーム・しみず
「唎酒師」「J.S.A.ワインエキスパート」といったお酒のプロフェッショナルとしての資格を持ち、元料理人としての経験も併せ持つ、クランド1の"お酒と食"のプロ。今年は商品開発の担当者として、「禁断のおせち」の開発を引き継ぐことに。
昨年、クランド初のおせちとして
登場した「禁断のおせち」
――そもそも「禁断のおせち」はどのようにして生まれたのでしょうか。
「そもそもの始まりは、すごくシンプルで。『年末年始って、家族や友人が集まってお酒を飲む機会が多いのに、市場にあるおせちってお酒に合わせることを前提に作られていないよね』という素朴な違和感からでした」
「おせちって縁起物なども多く、老若男女問わず食べられるようにと味わいが優しく作られているものが多いじゃないですか。それを、クランドらしく『お酒に合わせる』という一点だけで再構築してみたら面白いんじゃないか、と思ったのが発端です」
※昨年販売された「禁断のおせち」
「クランドはお酒を販売している会社なので、普通に考えたらおせちを作るというのは意外な一手なんですが、だからこそ『クランドが作るなら、お酒に振り切ったおせちしかない』という発想になりました。それで、和・洋・中を織り交ぜながら、とにかく“お酒に合う”ことだけを基準にラインナップを組んだんです。ローストビーフを筆頭に、思いっきり肉や魚介類を並べた構成は、まさにその発想の象徴でした」
――「禁断」というネーミングも、その頃から決まっていたんですね。
「そうですね。“禁断”というワードには、罪悪感すら覚えるくらい贅沢に、お酒に合うものだけを詰め込みました、という意味が込められています。実際、初めて出したときは社内でも『ここまで振り切っていいのか』という声がありましたが、結果的にそれがちゃんと伝わって、多くのお酒好きの方に手に取ってもらうことができました」
リニューアルの原点は、
お客さまの声一つひとつ
――まず、しみずさんが「禁断のおせち」の開発を引き継ぐことになった経緯を教えてください。
「私自身、商品開発担当者として数多くの商品の企画開発をこなしてきました。加えて、元々料理をやっていた経験もあってか、今年おせちの担当を引き継ぐことになりました。『禁断のおせち』のコンセプトである『お酒に合うおせち』という面でも、よりおせちのお酒との相性を突き詰めたいというのを今年の大きなミッションとして引き継ぎました」

――昨年から引き継ぐにあたって、当初から大事にしていたポイントはありますか。
「一番は、昨年の購入者の方に実施したアンケートですね。第一に高評価なお声が多かったことは、開発の上でもかなり前向きになれました。『こういうところが良かった』『ここをもう少し改善してくれたら嬉しい』という、本当にリアルなお客さまの声がたくさん記載されていまして……。その一つひとつを大事にしようと思って、開発に挑みました。購入者アンケートと社内のスタッフによる試食アンケート。この2つをメインの判断材料にして、改善を進めていった感じです」
――アンケートの中で、具体的にはどんな声があったのでしょうか。
「去年は初めての挑戦だったこともあって、結構振り切っていて、わかりやすくお酒に合うものを詰め込んでいたんです。その分『もっとさまざまな味わいを楽しみたい』や『味わいの変化が欲しい』というお声をいただいておりました。ここが、去年から今年にかけて一番の改善ポイントだったと思っています」
※昨年販売された「禁断のおせち」の一部
――難しいところですよね。「禁断のおせち」というテーマ自体、お酒のために振り切っているからこそ生まれる“禁断感”でもあるわけで。
「そうなんです、まさにそこが一番苦労したところで。ただ、実際にそういう声があった以上、『去年買ってくださった方も、今年初めて手に取る方も、より一層楽しんでいただけるように』というのは大切にしていて、『去年からちゃんとアップデートしたんだな』と伝わるように、中身の改善はしっかりやろうと決めていました」
「禁断」というコンセプトが、
クランドの武器
――逆に、昨年から絶対に変えないと決めていたところはありますか。
「『禁断』という部分だけは、絶対に外せないコンセプトです。やっぱり“クランドでやるべき/できる商品”であることが大前提。そこがブレてしまったら、極端な話『別にクランドで買わなくても、他でおせち買えるじゃん』となってしまう。だからそこだけは、しっかり守りました」
――“禁断”っぽさは、今年どのように出していったのでしょうか?
「通常のおせちって、一品一品に意味があって、豆があったり栗があったり、ちゃんとバランスよく食べ飽きないように作られているじゃないですか。『禁断のおせち』は、そのバランスをあえて崩しにいっている、新しい解釈のおせちなんです」
「一つひとつの品に願いを込めるというよりは、“楽しむ場”を大事にしたい。お酒を飲みながら、みんなでつまめる。ワインを飲む人も、日本酒が好きな人も、ビール派の人もいる中で、みんなが美味しく楽しめること。それが一番のコンセプトなんですよね」
「だから『禁断』というのは、お酒に合わせるための背徳感というより、“お酒を飲むための設計”そのものが禁断なんだと思っています。今までのおせちの歴史をいったん脇に置いて、お酒を飲ませるための、クランドならではのおせち。それが、このおせちにおける『禁断』です」
――なるほど。とにかく「お酒に合うもの」を集めていく、と。
「そうなんです。しかもワインでもビールでも日本酒でも、何を飲んでいても楽しめるようにする。それが目指すべきポイントだと思っています。家族みんなが日本酒しか飲まない、なんてことはまずないですから。だからこそ、どんな商品を入れるかという選定は、『どんなお酒と合わせられるか』を常に意識して考えていました」
どんなお酒とも合うように
お肉と魚介でバランスをとる
――今回のお品書きを見ると、一の重にはローストビーフ、アワビの吟醸煮といった、見た目の華やかな品目が並び、二の重は親鶏の炭火焼きや豚の角煮といったガツンとお酒が進む“おつまみ”系のほかにも、柚子香る貝柱やサーモンマリネのような爽やかな魚介系のおつまみなどが並びます。
「昨年は、塩辛や明太子といった珍味系も充実していましたし、やっぱり年末年始というと日本酒を酌み交わすイメージも強いので、少し日本酒層に向けたおつまみが多くありました。なので、そこを少し砕いてあげたほうが、より幅広く受け入れられるかなと思っていました」
――お肉が少し減りましたか?
「ソーセージ、ベーコン、ハムなどさまざまありましたが、今年はぐっと絞りこみました。残っているのは塩レモン風味のタンスモークや豚ハラミの黒胡椒焼きなど、『肉料理』として、評価が良かったものを残しています」
「その代わりに、魚介を少し多めに入れました。塩っぱさのバランスを考えても、さっぱりした魚介がちゃんと入っていれば全体の満足感は保てるけど、味の濃さそのものは薄れていく。そのバランス調整として、魚介に寄せたのが今回の大きな方針です」
――確かに、一の重にも二の重にもバランスよく海鮮が入っている印象です。
「昨年人気の高かったニシンのマスタード和えは今年も継続。新しくマグロの土佐煮なども入れています。アンケートで、味わいのバランスについてさまざまなご意見をいただきました。例えば、塩分控えめなメニューも増やしてほしいといったお声ですね」
「魚卵など珍味系は塩分が多く含まれる物が多いです。今年も魚介系はしっかり入っていますが、入れ方を少し変えています。例えば、今年も魚卵は使っているのですが、ホッキ貝を和えたサラダにするなどメニューにひと工夫加えることで、日本酒系のおつまみだけに片寄らないようにバランスを整えました」
メインどころはとことん豪華に
――各ラインナップの紹介に入っていきたいと思うのですが、今年、去年から残っているメニューは20品中8品ほどあります。これらはどういう基準で残したのでしょうか。
「お客さまのアンケートで『これ美味しかったです』という声が多かったものを残しています。特に評価が高かったのは、ローストビーフや柚子酢だこ、それから親鶏の炭火焼きですね。この辺りは評価がすごく良かったので、残そうと決めました」
――ここでもお客さまの声が活きているんですね。しみずさんとしては、今年の目玉と言えるメニューはどれでしょうか。
「豪華さで言うと、ローストビーフとエビ、それからアワビの3点ですね。この3つが一番目を引くし、サイズ感もあるので、メインどころになると思っています」
「ローストビーフは、ソースを去年のジャポネソースから、グレービーソースに変更しています。ワインにしっかり合わせられるソースを探した中、グレービーソースに辿りつき、それなら今年はワインとの相性も強められるなと思って採用しました」
「実は最初、カニを入れたかったんです。でも、脚がそのままドンと入っているタイプだとラインナップ全体のバランスに合わなかったり、逆にカニのグラタンのようなアレンジにすると、見た目は華やかになるけど禁断感が出ない、という結論になって。それで、殻付きで見た目も華やかになる別の海鮮を探して、たどり着いたのがアワビでした。味わいも吟醸煮という贅沢な味付けに仕上がっていて、禁断感を後押しし、いい主役になっていると思っています」

――ローストビーフのように、去年から続くメニューでも中身がアップデートされているものがありますね。
「椎茸は去年柚子煮だったんですが、今年は“綾煮”という含め煮に近い、繊細な出汁の風味を感じられる上品な調理法に変わっています。去年と同じ椎茸だけど、味わいは違う。そこも面白いなと思って採用しました」
――マグロの土佐煮も新登場ですね。
「これは私自身が好きだった、というのもあるんですが(笑)、ラインナップ全体を見ると、意外と醤油をしっかり効かせた味わいのものが少なかったんです。魚介はどちらかというとさっぱり系や酢の物系が多かったので、味わいのバランスを取るために、鰹節をふんだんに使った土佐煮でマグロを仕立てました。マグロは好きな人が多いですし、鰹節のうま味もしっかり感じられて、面白い一品になったと思います」
お酒のプロがペアリングとともに
メニューを選定
――しみずさんは「唎酒師」や「J.S.A.ワインエキスパート」といったお酒の資格をお持ちですよね。今回のペアリング設計にも、その知識が生きているんでしょうか。
「そうですね。唎酒師もワインエキスパートも試験でペアリングの知識を多く問われ、勉強しました。今回その当時の知識や社内での商品開発の経験なども振り返りながら、品目を選ぶ段階から『これは日本酒に合いそうだな』『これはビール向きだな』というのを、ある程度バランスよく散らばるように意識していました。あじの南蛮漬けとサーモンマリネのように、似たポジションの品目でもあえて系統を変えて2品入れる、というのもその一環です」
「家族みんなが同じお酒を飲むわけじゃないので、日本酒党にもワイン党にもビール党にも、それぞれ『これは自分向きだ』と思える品目があるようにしたい。淡麗系の日本酒に合わせたい柚子酢だこや海老旨煮のようなさっぱり系もあれば、濃醇系の日本酒やお燗にぐっと寄せたい椎茸の綾煮やマグロの土佐煮のようなコクのある品目もある」
「ビールやハイボールには、親鶏の炭火焼きや豚ハラミの黒胡椒焼きのようなパンチのある品目を。ワインには、ローストビーフのグレービーソースや鶏レバーパテのような赤ワイン向きの一品を、というように、20品それぞれに『こういうお酒と合わせてほしい』というイメージを持って構成しています」
「面白いところで言うと、いぶりがっこのクリームチーズや罪食感ブロッコリーのド濃厚チーズマヨは、実は梅酒や果実酒とも相性がいいんです。ふだんあまりおせちの“おつまみ”とは結びつかないお酒だと思うんですが、梅酒好きな方にもちゃんと選択肢を用意したい、という思いで入れました」
――ちなみに今回は、購入者限定特典として、リーフレットにかなり細かなペアリングの紹介が載っているとか……?
「そうなんです。私のほうで筆をとり、リーフレット内でペアリングの解説を行っています。メニューが20品もあるので、各品目ごとに、どんなお酒と合わせるとおすすめか、また日本酒だったら熱燗がおすすめといったようにおすすめの飲み方などもご紹介しています。特典の面でもお酒好きの方から初心者の方まで、広く楽しんでいただけるようなおせちにパワーアップしていると思います!」
――今回は箸休めとなるよう、新しく入ったメニューもあると伺っています。
「通常のおせちには“なます”がよく入っていますよね。あれって箸休めとしてすごく大事な役割で、さっぱりしていて口をリセットしてくれるんです。今年の“禁断のおせち”にも、なますの代わりになるものを入れたいと思って選んだのが、あじの南蛮漬けとサーモンのマリネです」
「あえて2品入れたのには理由があって、あじの南蛮漬けは醤油っぽさが少し入っている酸味なので日本酒に合わせやすい、サーモンのマリネはよりキリッとした酸味なので、こちらもワインに合わせられます。似ているようで、実はちゃんと系統を変えているんです」
――そこまで考えて2品入っているとは……。
「そうなんです(笑)。あとは、買ってくださる方のご家庭に、もしお子さんがいた場合でも楽しめるように、という視点も少し意識しました。サーモンマリネもそうですし、罪食感ブロッコリーのド濃厚チーズマヨ はお子さんが好きな味なのでというのも入れて見た理由のひとつです」
「このブロッコリーチーズマヨは、ラインナップの中で意外な組み合わせを楽しめるユニークな一品です。実は他の商品と一緒に食べてもすごく美味しくて、“味変”に使えるんですよ。例えば唐千寿(からすみ風の一品)と合わせたり、ベーコンチーズドッグと合わせたり、ローストビーフで巻いたり。そういう楽しみ方ができるので、面白いかもと思って入れました」
お正月以降のアレンジも
楽しんでほしい
――そういえば、「禁断のおせち」は個包装のカップで一品ずつ入っているのも特徴ですよね。
「はい、実はそこも結構ポイントなんです。この点は、昨年からの踏襲です。お客さまからのアンケートでも『残っても、小分けのカップだから取っておきやすくてよかった』という声をいただいていました」
「大きな箱にどさっと盛り付けられているタイプのおせちだと、見た目は華やかなんですが、残ったものをあとで一皿にまとめようとすると意外と大変で。だから、それぞれ小分けのまま保存できるようにしました。後日、アレンジして何かに使ってもらう楽しみ方も全然ありだと思っています」
――実際、社員の方々でアレンジを試したこともあるとか。
「はい、昨年社内で禁断のおせちのアレンジをやってみまして、それがすごく楽しかったんです。お正月にみんなで食卓を囲むときに、『これとこれ、一緒に食べたら美味しいよ』とか、『これにこれをちょっと足したら最高』みたいな会話が生まれると、お酒の場ってもっと盛り上がるじゃないですか」
「一人でお酒を飲みながら『これ合うな』と思うのも楽しいんですが、2人、3人、もっと大人数で『これとこれ合うよね』『ここに、これを足すと美味しいよ』と言い合うのは、みんなが集まるときの醍醐味だと思うんです。そのコミュニケーションのきっかけになってくれたら、より嬉しいですね」
お酒の場での
コミュニケーションツールとして
――最後に、おせちの開発者として感想をお聞かせください
「一番感じたのは、いかに“ラインナップ全体で禁断感を作るか”というパズルの難しさですね。塩辛かったから薄味にする、というような単純な話ではなくて、お肉を減らして魚介を増やす、箸休めを系統違いで2品入れる、というふうに、全体のバランスで解決していく必要があったので」
「あとは昨年の土台があったからこそ、今年は安心して“アップデート”という形で挑戦できたと思います。去年のアンケートやお客さまの声がなければ、今年の改善点も見えてこなかったので、そういう意味では去年から続くバトンをちゃんと引き継げたかなと思っています」
――今年の「禁断のおせち」を楽しみにしている方へ、メッセージをお願いします。
「『禁断のおせち』は、お酒好きの人がみんなで集まったときに、それぞれ好きなお酒を片手に楽しめるように作っています。去年いただいた声をしっかり反映して、去年より食べやすく、それでいて“禁断感”はそのままに仕上げたつもりです」
「一品一品を楽しむのはもちろん、ぜひ品目同士を組み合わせて、自分だけの“味変”も見つけてもらえたら嬉しいです。お酒の場でのコミュニケーションツールとして、今年の『禁断のおせち』を楽しんでいただけたらと思います」
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